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ユーザーに合った利用方法を提供するために――SAPジャパンとアドビが協業強化

2007年07月18日 18時58分更新

文● アスキービジネス編集部

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SAPジャパンとアドビ システムズは、7月18日、共同で記者会見を開き、SAP ERPの販売で協業すると発表した。両社はSAP ERPへの入力をPDFフォーム上から行なう「SAP Interactive Forms by Adobe」を共同で開発しており、専任の営業体制を整えることで普及を目指す。


SAPジャパン社内にアドビ コンピテンスセンターを設立


ユーザーに合った利用方法 を提供するために――SAPジャパンと...

(左から)アドビ システムズのギャレット・イルグ社長とSAPジャパンのロバート・エンスリン社長

「自宅に居るときにはSAP(ERP)は使わない。だがアドビ(PDF)なら使う」。SAPジャパン代表取締役社長のロバート・エンスリン氏は、アドビ システムズとの協業の目的をこう切り出した。「ソフトウェアがユーザーに合った利用方法を提供するべき。SAPは(Microsoft Officeをフロントエンドに使う)『Duet』やWebポータルを提供しているが、アドビのソリューションはデスクトップとWebの両方をカバーしている」(エンスリン氏)。

 独SAPと米アドビ システムズは、2002年から協業をスタート。2005年からは「SAP Interactive Forms by Adobe」(以下、Interactive Forms)を共同で開発・提供している。Interactive Formsは、PDFフォームをSAP ERPの入力に使うためのソリューション。冒頭、エンスリン氏が述べたように、エンドユーザーの利便性を高めることができる。

 Interactive Formsは、紙ベースの書類をPDFとして電子化し、ユーザーはPDFフォームとして入力。入力されたデータ部分をERP側に送信、反映させる。PDFにはERPのマスタデータを埋め込むこともでき、オフライン環境でもマスタのデータを参照・表示可能だ。また、あらかじめ設定した計算式に基づく自動計算や、電子署名の付与にも対応する。「記入ミスによるリスクや二重入力のコスト削減にもつながる」(エンスリン氏)。用途としては、保守担当者の作業報告書、アンケートの実施、請求書の発行などが見込まれる。

Interactive Formsでは、SAPのマスタをPDFに埋め込むこともできる。製品コードを選ぶ(左)と製品名と単価が自動入力される(右)

ユーザーに合った利用方法 を提供するために――SAPジャパンと...

Interactive Formsの動作方法

 Interactive Formsを実現するのは、PDFフォームをデザインをする「Adobe LiveCycle Designer」と、配信を行なう「Adobe Document Services」。いずれも、SAP ERP 6.0に同梱されているプラットフォーム「NetWeaver」と統合されており、「NetWeaverをインストールする際に同時にインストール可能」(SAPジャパン ソリューションマーケティング本部の谷口裕志氏)。

 このInteractive Formsの普及を目指し、今回、SAPジャパンとアドビ システムズは、SAP ERPの販売について協業関係を強化した。具体的には、今年7月にSAPジャパン社内に営業と技術担当の計12名からなる専門組織「アドビ コンピテンスセンター」を設置。同センターにはアドビの社員2名が参加する。また、アドビがSAPのパートナー向けにトレーニングを実施するほか、各々が主催する顧客企業向けのプライベートイベントに相互に協賛するなど、マーケティング面でも協力していく。

 アドビ システムズの代表取締役社長のギャレット・イルグ氏は、「SOAの分野で先を行くSAPと協業することで、生産性向上と競争力強化に役立つ新しいソリューションを提供したい」と述べ、同社のエンタープライズ事業を拡大していく姿勢を示した。

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