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Androidは完全復旧が相当難しい
「ロックがかかったAndroidとiOS端末、どっちが復旧しにくい?」
そうデータ復旧業界の知人に聞くと、「断然iOS端末!」との答えが返ってきたものでした。ひと昔前までは。
いま返ってくるのは「どっちも難易度マックスでイーブン」という答えです。墓視点でここ数年のAndroidを振り返ってみると大きな変化が2つあります。
ひとつは2015年頃にあった「Google端末を探す(旧・Androidデバイスマネージャー)」の仕様変更。インターネットで同ツールにアクセスすると、自身のGoogleアカウントを入れた端末を遠隔操作して着信音を鳴らしたり初期化したりできますが、変更後は端末ごとのパスワードロックの解除もできなくなりました。
もうひとつはハードウェア暗号化が標準化したこと。基本的に暗号化されたストレージは、パスワードを解除しない限り物理的にフラッシュを取り出して解析する手が使えません。端末ごとの暗号化は以前からみられましたが、2016年夏リリースの7.0以降はOSレベルで適用されて、力業が通用しなくなりました。
この2つの変化により、ロックされたAndroid端末は、解除パスがわからない限り完全復旧の見込みが相当低くなりました。Googleアカウントへの自動バックアップ機能によって最小限のアカウント情報は拾えますが、写真や動画、アプリ依存のコンテンツなどはmicroSDカードや独自のバックアップツールで連携したPCといった外部ストレージに望みを託すしかないような状況になっているわけです。
一方のiOS端末は、第7~8回で解説したとおり、以前からハードウェア暗号化が標準化しているうえ、microSDカードスロットがありません。しかし、ロック状態でもiTunesで完全バックアップがとれるため、パスコードがわからなくても、AppleIDとそのパスワードがあれば復旧できる見込みがあります。
そうした違いを見比べた結果、「難易度マックスでイーブン」と評価されたわけです。
GoogleアカウントとmicroSDに細心の注意
以上の特徴を踏まえると、Android端末に残したデータを墓まで持っていくのは以前より明らかに容易になったといえるでしょう。しかし、考えなしに保存するのは、やはりリスクにしかなりません。
プレーンなAndroid端末の保存領域を解除キー別に整理してみましょう。
今週のポイント
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Googleアカウント |
iOSにおけるApple IDと比べると、鍵としての守備範囲はやや狭めとなるGoogleアカウント。だからこそ、コレを手なずけることが死後の恥対策の重要ポイントとなる。
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