家族以外がHDDを破壊するのは簡単じゃない
「自分に万が一のことがあったら、お前が俺のHDDを破壊してくれ……!」
そんな感じで、恥データのつまったパソコンやスマホの処理を同好の士に託す。飲み会での席上でよく交わされそうな約束ではありますが、実際のところそういう依頼は現実的なのでしょうか? ちょっと真剣に考えてみましょう。
日本で人が死ぬと、その人の大抵の持ち物は遺族などの相続人に委ねられます。パソコンやスマホは「動産」といって、テレビやデジカメと同じような感じで引き継がれたり、不必要なら廃棄されたりします。なので友人がノープランで約束を果たそうとすると、遺族の所有物を奪い取って強引にドリルで穴を開ける……みたいなものすごく横暴な絵になってしまいます。
ならば、遺族も知らない間にこそっとやればいいかといえば、それは法的に相当きわどい行為だったりします。
安全策をとるなら、引き継いだ家族に理解を得るべく真正面から話し合うのがよさそうです。しかし、故人の恥部に触れないで納得してもらうのはなかなかタフな仕事でしょう。
つまり、家族以外の人が故人のデジタル機器を操作するのは、実は意外と難しく神経を使うことなのです。友人に託すなら、自分の死後もできる限りのサポートが欠かせません。
たとえば、法的な面で完璧を期すなら、遺言書を作成して恥データのつまったデジタル機器を友人に「遺贈」するように設定したり、「死後事務委任契約」書を作ってそのなかで指示を出したりする手があります。
エンディングノートなどに「このパソコンの価値を一番わかっているアイツに託したい」みたいなことを書いておくのも有効でしょう。法的な拘束力はなくても、家族の納得が得られやすくなるはずです。
加えて、日本デジタル終活協会を運営している伊勢田 篤史弁護士はこうアドバイスします。
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