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廃棄食材で養殖循環、AR空間を自在に作成など 福岡発若手起業家4社がピッチ

「TORYUMON FUKUOKA 2023 Summer」レポート

特集
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 2023年6月17日、「TORYUMON FUKUOKA 2023 Summer」が福岡市のスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next(FGN)」で福岡発のシード向けベンチャーキャピタル「F Ventures」の主催で開催された。「TORYUMON」はU25世代に向けた起業促進イベントだ。過去17回の開催を通じて、1000万円前後のシードマネーを獲得する学生起業家を複数輩出している。スタートアップや学生起業家などの5者が登壇したピッチコンテストの模様を紹介する。

食品廃棄物とミールワームを利用して養殖漁業を支える、株式会社BooonがTORYUMON賞を受賞

株式会社Booon 代表取締役 橋爪 海氏

 Booonは、食品廃棄物を養殖用飼料となる機能性昆虫の餌に活用することで、食の資源循環実現を目指す長崎大学発スタートアップだ。

 水産業界では養殖が増加しているが、魚を育てるための魚粉の国際価格は過去20年間で3倍以上と激しい値上げを見せているという。Booonは魚粉に代わる飼料原料を安く大量に生産する方法として、魚粉とほぼ同じアミノ酸構成のミルワームに特化した機能性昆虫の飼料化に取り組んでいる。このミルワームを育てる飼料として食品廃棄物を用いる。

 Booonは昆虫生産拠点を食品工場併設型にすることで、輸送コストを最小化する。ミルワームの生産には九州の温暖な気候が適しており、目先では九州で水揚げ量が多いブリ類の飼料化を目指している。

 具体的な取り組みとして、食の資源循環を長崎大学で実現しようとしている。Booonが長崎大学生協の廃棄弁当を引き受け、餌にしてミルワームを育てる。そのミルワームをサーモン養殖場に提供し、そのサーモンを用いたサーモン丼を同生協で販売するという試みだ。

AR空間をアプリで直感的に作れる「mARble」を開発、MarbleXR株式会社がYOUTRUST賞

MarbleXR株式会社 代表取締役 木村 沙那氏

 MarbleXRは簡単にAR空間を作れるARプラットフォームアプリ「mARble」を提供するスタートアップだ。アップルが「Apple Vision Pro」を2023年6月に発表するなど、AR/VRの市場は活気づいている。

 しかしARに関する既存ソフトウェアには課題も多いという。機能が限定的で自由度が低いことや、素人には操作が難しいことなどだ。MarbleXRは国内で唯一、プログラミング知識不要で、アプリからAR空間を作成できる「mARble」を開発した。「mARble」の360度の空間には3Dアイテムやキャラクターを配置できる。GPSやNFTウォレットも連携可能だ。

 MarbleXRは商業施設や展示会とのコラボ実績も豊富だ。2023年6月9日から30日には大阪梅田のHEP FIVEで「東京リベンジャーズ×HEP FIVE特別観覧車」が開催され、「mARble」の空間に3Dのアニメキャラクターが登場した。今後は梅田を中心としたスマートシティ開発にも携わっていくという。

教育事業者の業務効率化アプリ「WANTO」を開発する、大学生の西坂優希氏がFGN賞

WANTO 代表 西坂 優希氏

 大学生の西坂優希氏は、学習塾など教育事業者の業務を効率化するアプリ「WANTO」を開発している。学習塾の退塾理由の約40%は、生徒の様子や得意、不得意などが親に見えにくいためだという。親に子どもの様子を伝えるには面談が有効だが、資料作成や日程調整が負担となり、実施回数が限られる。

「WANTO」はアプリで親と塾講師、生徒が情報共有することで、生徒の様子の可視化や面談準備の効率化を実現する。生徒は表示されるチャットに答えるだけで、目標やタスク、学習計画などがダッシュボードに反映される。またAIによる自動フィードバック機能も搭載されている。

 生徒が入力した情報は管理者画面に反映され、塾講師は生徒一人ひとりのタスク、モチベーションの管理から生徒全体の団体集計も可能だ。生徒がタスクを行うプロセス段階から情報が得られるため、多角的な課題抽出やネクストアクションの実行、面談資料の作成などが可能となる。将来的には人材研修業界など他業界への横展開も見据えている。

リサーチリポジトリツール「Hearable」を開発するHearable株式会社

Hearable株式会社 代表取締役 二宮 鉄平氏

 Hearableは消費者調査で得られた定性情報を一元管理、分析し、製品開発やマーケティングに生かすリサーチリポジトリツール「Hearable」を開発している。

 企業では消費者調査を行うものの、得た情報を有効な形で蓄積、共有できていないという。例えば、ドキュメントツールに情報が蓄積されていても、長文の調査結果を読み返す人がいないことや、全社的に閲覧権限が共有されていないなどの課題がある。「Hearable」では、顧客の声にタグやプロジェクトとの紐付けなどのメタ情報を付与することで、絞り込みやソートによる抽出を可能とする。

 また、タグを用いたクロス分析や知見の共有も可能だ。リサーチやセールス、カスタマーサポートなどそれぞれの部署で得られた知見を全社的にシェアすることで、それをもとに製品開発や顧客対応が可能となる。海外のリサーチリポジトリ市場は300億円の規模があるものの、国内にリサーチリポジトリサービスは存在しないという。現在はベータ版を提供している。

AIスポーツ指導アプリ「X-シリーズ」を開発するIRISA

IRISA 代表 福塚 大和氏

 IRISAはAIによるスポーツ指導アプリ「X-シリーズ」を開発している。現在はテニスに特化した「X-Tennis」を開発中だ。

 スポーツ選手はアマチュアからプロまで、自身のプレー分析による課題の可視化や改善が不十分だと感じているという。「X-シリーズ」は選手のビデオデータを読み込むことで、AIによるプレー分析やアドバイスを行う。また日誌機能では継続的にビデオをアップすることで、選手の状態を数値化し、成長度合いを可視化する。

 さらに他の選手の分析機能も搭載されている。対戦相手を分析することで、自身との相性の検討や戦略作りに活用できる。いずれも数値をもとにしたフィードバックであるため、ユーザーの納得感も高い。高校生以下は学校単位の契約、大学生以上は個人契約を検討している。今後は大会の主催やスポンサードなどで認知拡大を目指す。

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