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“オンプレミス+定額制”の強みも生かし、中小自治体の業務効率化にアピール強める

PFU「DynaEye 11」発表、手書きAI-OCRの高精度化や簡単定義UI追加など

2022年05月11日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 PFUは2022年5月11日、OCRソフトウェアの最新版「DynaEye 11」を発表した。手書き日本語帳票におけるAI-OCRの文字認識精度をさらに高めたほか、OCR定義の作成画面を刷新して業務現場での内製導入を容易にしている。また、OCR処理結果の確認/修正機能のみを切り出した安価な新ライセンスもラインアップに追加した。発売は7月8日。

 同社では、今回のバージョンアップを通じて今後伸びる利用領域に対応する製品強化を行ったとしており、“オンプレミス+定額型”という強みと合わせて、多量の手書き帳票を扱いながらもOCRの導入が進んでいない全国の自治体をはじめとする幅広い顧客へアピールしていく方針。

富士通「Zinrai」ベースのAI-OCRをさらに強化し、クセの強い手書き文字や枠外へのはみ出し記入、斜め記入、誤記の取り消し線などの認識精度を向上した

現場導入の内製化/容易化、複数業務での利用促進を図ったことで、今後伸びる利用範囲への浸透を図るとしている

 DynaEye 11ではまず、富士通「Human Centric AI Zinrai」によるAI日本語手書きOCRを強化し、文字の認識精度を向上させている。同社の基準帳票を使った前バージョンとの比較テストによると、認識精度は96.1%から99.2%に向上した。特に、従来は認識が困難だった枠外はみ出し記入、斜めに傾いた記入、取り消し線(押印を含む)などがあっても高精度な認識ができるという。

 また新バージョンでは、帳票のOCR読み取り箇所や項目名などを定義する画面を刷新し、DynaEyeに対する知識や操作経験がないユーザーでも直感的なOCR定義を可能にした。読み取り対象領域の自動抽出機能も備えている。

 これに加えて、特に手書き帳票の多い自治体向けにOCR定義テンプレートを提供する。このテンプレートをベースに、各自治体帳票との差分だけを修正することで、より迅速な導入が可能になるとしている。

OCR定義画面のUIを刷新し、誰でも直感的に定義できるようにした

 さらに今回の新バージョンから、結果データの確認/修正機能だけが使える安価な新ライセンス「DynaEye Entryマルチステーション」を提供する。従来はOCR機能と確認/修正機能がセットになった標準ライセンス(DynaEye Entry)のみだったため、複数人で同時に確認/修正作業を行いたい場合などには多額のコストがかかっていたが、その必要がなくなる。OCR用端末を1台の共有PCにまとめ、複数の部署/業務でEntryマルチステーションを導入することでコスト削減を図ることもできる。

3つの業務で標準ライセンス×3セットを導入した場合と、標準ライセンス×1セット+マルチステーションライセンス×3セットの場合の価格比較

 税抜価格は、標準ライセンスのDynaEye 11 Entryが初年度100万8000円、2年目以降が年額16万8000円。フリーピッチ手書き文字を高精度に認識できるDynaEye 11 Entry AI-OCRが初年度201万6000円、2年目以降が年額33万6000円。上述したDynaEye 11 Entryマルチステーションが初年度48万円、2年目以降が年額8万円。そのほか、業務アプリに組み込めるDSKやランタイムも引き続き販売する。

 なお発表日(5月11日)から発売日(7月8日)の間に現行版製品(DynaEye 10 帳票OCR Entry / AI日本語手書きOCRオプション)を購入した顧客は、無償でDynaEye 11にバージョンアップできる。

 PFUでは、本社を置く石川県かほく市との共創プロジェクト等において、DynaEyeと業務用イメージスキャナー「fiシリーズ」を用いた申請書類のデータ入力時間削減に取り組み、約60%(年換算288時間)の時間短縮を実現した実績を持つ。今後、業務効率化に向けてAI-OCR+RPAの導入活用が進むと見込まれる中核市未満の規模の自治体をターゲットに定め、定額型で導入できる製品の強みも生かしながら提案を進める方針。DynaEyeシリーズ全体の売上目標は、今年度からの3年間で30億円としている。

中小規模自治体の自治体DX/業務効率化に向けてDynaEye+fiシリーズのソリューションをアピールしていく

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