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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第576回

新しい10nm+は10nmと比較して 17~18%の性能改善 インテル CPUロードマップ

2020年08月17日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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Tiger Lakeはかなり性能が高そう
最大5GHzで消費電力も100Wに収まるかも

 Tiger LakeはコアもWillow Coveに切り替わるわけであるが、Sunny CoveベースのIce Lakeとの電圧/動作周波数の関係を示したのが下の画像だ。

Tiger LakeとIce Lakeの電圧/動作周波数の関係。縦軸は相対値かと思ったのだが、どうも絶対的な動作周波数のようだ。したがって以下はその仮定で話を進める

 さて、ここで例に挙げているSunny CoveはおそらくIce LakeのハイエンドであるCore i7-1065G7と思われる。こちらは定格1.3GHz/Turbo Boost 3.9GHz動作になるが、これを10nm SuperFinで作り直す場合、まず定格は1.9GHzくらいまで引きあがり、Turbo Boostは4.7GHz位まで引っ張れると思われる。

上の画像のグラフを拡大したもの。赤の補助線は理解のために筆者が追加した

 Ice Lakeでの3.9GHz動作時の消費電力は、インテルがIce LakeのPL2の値を公開していないので不明であるが、テストによればおおむね50W近いとされており、つまり4コア4.7GHzのコアなら50W程度で動作する可能性があることになる。

 この数字は、デスクトップに持ち込むのも不可能ではない範囲と思える。8コア4.7GHzで100W、というのは(相変わらず高いな、という気はするものの)昨今の消費電力の増えたインテルのデスクトッププラットフォームには十分利用可能な範囲だからだ。

 また電圧を引き上げた時、最大で5GHz近くまで引っ張れるというのも、やはりデスクトップ向けにはありがたい特性であろう。

 これらのことから、Tiger Lakeは(このスライドが嘘でなければ)かなり性能が高くなりそうではあるが、それだけでなくデスクトップ向けにもこの10nm SuperFinを使った製品が現実的に利用できそうに思われる。

Rocket Lakeは8コア12スレッドという
不思議な構成になるかも

 その10nm SuperFinを使った製品の話をしよう。2021年のTimeframeで、新たにAlder Lakeが正式発表された。

Alder Lakeが正式発表。予想が外れたのは、Willow Coveベースではなかったことだ

 こちらはKoduri氏が明確に“Golden CoveとGrace Montを合わせた製品”になるとしており、連載574回で書いた予想が外れた。

 ということは、Golden Cove単体はSapphire Rapidsに利用され、デスクトップ向けはハイブリッドのAlder Lakeのみになるのか、それともデスクトップもGolden CoveのみとAlder Lakeのコンビネーションになるのか、現状では不明なままである。さらに言えばGolden Coveの詳細も現状ではまったく不明なままである。

 Alder Lakeについて言えば、Koduri氏が“新しいハードウェアベースのスケジューラーを搭載”といっているあたり、big.LITTLEの処理をある程度ハードウェア側でオフロードできるように工夫されているのかもしれない。

 現状ではコア数を含めてまだ不明なことが多いが、これはもう少し投入時期が近付けば明らかにされることになるだろう。ただはっきりしているのは、2020年にはなにもないということ。そのためRocket Lakeでしのぐことになるだろう。

 ちなみにそのRocket Lake、8コア12スレッドという不思議な構成になっているという話が聞こえてきている。要するに8コアあるうちの4コアはハイパー・スレッディングが無効化されているらしい。

 理屈で言えば、ハイパー・スレッディングを無効化すると、若干ではあるが同じ消費電力枠のまま、動作周波数を引き上げることはできる。シングルスレッド性能が必要な場合はハイパー・スレッディングを無効化したコアにスレッドを割り振り、スレッド数が必要な場合には全コアを使うといった形だろうか?

 これは、将来のWindows 10がAlder Lakeに対応したスケジューラを導入することを踏まえて、その前段階としてこうしたヘテロ構成のプロセッサーを導入するといった意味合いもあるのかもしれない。

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