Blue Gene Qと同等のパフォーマンスを
はるかに少ない消費電力で得られる
さて、このThe Machineだが、コンセプトは2014年のHP Discoverで公表された。
残念ながら当時のマテリアルがほとんど存在しない(プレスキットにもThe Machine関係は含まれていない)ので内容を説明するのは難しいが、基調講演でMartin Fink氏(CTO兼HP Labのディレクター)がThe Machineのモックアップを示しながら、The Machineのコンセプトを説明した。
画像の出典は、Commnunity.hpe.com
ちなみにその際に示された推定性能がこちら。Blue Gene Qは連載306回で紹介したが、2011年6月まではTOP500で1位を死守し、Green500は2012年6月でもトップを守っていたシステムである。
画像の出典は、Commnunity.hpe.com
HPは、グラフ処理に関してThe Machineを使うとBlue Gene Qと同等のパフォーマンスをはるかに少ない消費電力で得られ、しかも解のサイズがはるかに大きいとしている。
もっともこの段階の性能はあくまでも推定(シミュレーション結果かどうかも怪しい)のレベルでしかなかったのだが、そこから2年後の2016年12月、HPE Discover London 2016では、このThe Machineのプロトタイプがお披露目される。
画像の出典は、Community.hpe.com
それぞれのモジュール(このモジュール1つが1ノードとなる模様)は、Compute Unit(左半分)とMemory Pool(右半分)から構成されている。
画像の出典は、Community.hpe.com
HPEはこのプロトタイプを2016年10月24日に、LinuxベースのOSで動作させることに成功している。翌2017年5月にはプレスリリースを発表し、The Machineのプロトタイプが160TB(つまりノードあたり4TB)のメモリーと、Thunder X2ベースのデュアルプロセッサー構成のノード(つまり全体で80プロセッサー)、独自のX1 Photonicsをベースに構築され、やはりLinuxベースの専用OSで稼働している。
この発表の直後にKirk Bresniker氏(The MachineのChief Architect兼Overall Lead:要するに実質的な責任者)へのインタビューがアスキーに掲載されているのでお読みいただく方が早いが、実際にMDCを実行できる物理的な環境が整ったことはかなり大きいようで、アプリケーションの移植にも弾みがつきそう、という見通しを述べているのは興味深い。
インタビューの冒頭で、いくつかのアプリケーションを移植した場合の性能が語られているが、実際この後HPはThe Machineの商用機への移植を徐々にスタートしている。
この連載の記事
-
第771回
PC
277もの特許を使用して標準化した高速シリアルバスIEEE 1394 消え去ったI/F史 -
第770回
PC
キーボードとマウスをつなぐDINおよびPS/2コネクター 消え去ったI/F史 -
第769回
PC
HDDのコントローラーとI/Fを一体化して爆発的に普及したIDE 消え去ったI/F史 -
第768回
PC
AIアクセラレーター「Gaudi 3」の性能は前世代の2~4倍 インテル CPUロードマップ -
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ -
第764回
PC
B100は1ダイあたりの性能がH100を下回るがAI性能はH100の5倍 NVIDIA GPUロードマップ -
第763回
PC
FDD/HDDをつなぐため急速に普及したSASI 消え去ったI/F史 -
第762回
PC
測定器やFDDなどどんな機器も接続できたGPIB 消え去ったI/F史 -
第761回
PC
Intel 14Aの量産は2年遅れの2028年? 半導体生産2位を目指すインテル インテル CPUロードマップ - この連載の一覧へ