買収したBTO PCメーカーのVoodooPCが
HPのゲーミングブランドOMENに
こうした一連の買収劇の中でやや異色なのが、2006年10月に買収したVoodooPCである。VoodooPCは、3dfxのVoodooとはまったく関係のない、カナダにあった小規模なBTO PCメーカーである。
デスクトップ向けにはOMEN、ノート向けにはenvyというラインナップで、細かくカスタマイズ可能という製品群を提供していた(他にARIAというメディアセンターPCのラインナップもあった)。
特徴を強いてあげれば、特にOMENに関しては当初から水冷を前提にしていたあたりだろう。2006年当時では水冷はまだそれほどポピュラーではなかったにもかかわらず、独自のVoodoo OMEN Supercharged Intercoolerなるクーラーが用意されていた。
さて、HPはなぜVoodooPCを買収したかといえば、ゲーミングPC向けのブランドが欲しかった、ついでに言えば、ゲーミングPCという市場のノウハウもやはり欲しかったというあたりだろう。
これに先立ち、20006年3月にはDellがAlienwareを買収・子会社化しており、Dellへの対抗という部分もあったのだろう。HPに買収後、VoodooPCはGlobal Voodoo Business Unitという不穏な名称の事業部になり、VoodooPCのメンバーがそのまま移籍、引き続きVoodoo/Envyのラインナップを提供し続けていた(ARIAはさすがになくなった模様)。
2008年にはブラッシュアップされ、まったく見かけが変わったOMENを提供している。このVoodoo事業部は、やはりDellにおけるAlienwareと同じく、HPのハイエンドPCのブランドとして扱われた。
実際、2008年におけるOMENのスペックは、Core 2 Extreme QX9770ないしQX9650に、2~8GBのDDR3-1600メモリー、GeForce 8800 Ultra SLIないしRadeon HD 3870 CrossFire、水冷クーラー(オプションで空冷も可)、HDDないしSamsungの64GB SLC SSDを利用したRAID、それと1150Wないし1300Wの電源という凄まじい代物で、まさしくハイエンドではある。
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