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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第544回

経費削減とM&Aで売上を増加させたHP 業界に多大な影響を与えた現存メーカー

2020年01月07日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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買収したBTO PCメーカーのVoodooPCが
HPのゲーミングブランドOMENに

 こうした一連の買収劇の中でやや異色なのが、2006年10月に買収したVoodooPCである。VoodooPCは、3dfxのVoodooとはまったく関係のない、カナダにあった小規模なBTO PCメーカーである。

2006年2月におけるVoodooPCのホームページ。フロントとサイドパネルの下、それと天板に同社のロゴが入ってるのがわかる

 デスクトップ向けにはOMEN、ノート向けにはenvyというラインナップで、細かくカスタマイズ可能という製品群を提供していた(他にARIAというメディアセンターPCのラインナップもあった)。

デスクトップ向けのOMEN。「ATI CrossFire」というあたりに時代を感じる。CPUはAthlon 64 FX-57が基本

ノート向けのenvy。Pentium M+GeForce 7800 GTXという基本構成のenvy uだが、これとは別にAMD Turion+ATi Mobility Radeon X700という構成のenvy aも用意されていた

 特徴を強いてあげれば、特にOMENに関しては当初から水冷を前提にしていたあたりだろう。2006年当時では水冷はまだそれほどポピュラーではなかったにもかかわらず、独自のVoodoo OMEN Supercharged Intercoolerなるクーラーが用意されていた。

 さて、HPはなぜVoodooPCを買収したかといえば、ゲーミングPC向けのブランドが欲しかった、ついでに言えば、ゲーミングPCという市場のノウハウもやはり欲しかったというあたりだろう。

 これに先立ち、20006年3月にはDellがAlienwareを買収・子会社化しており、Dellへの対抗という部分もあったのだろう。HPに買収後、VoodooPCはGlobal Voodoo Business Unitという不穏な名称の事業部になり、VoodooPCのメンバーがそのまま移籍、引き続きVoodoo/Envyのラインナップを提供し続けていた(ARIAはさすがになくなった模様)。

 2008年にはブラッシュアップされ、まったく見かけが変わったOMENを提供している。このVoodoo事業部は、やはりDellにおけるAlienwareと同じく、HPのハイエンドPCのブランドとして扱われた。

2008年9月のVoodooPCのトップページ。左がOMEN、右上がenvyである

 実際、2008年におけるOMENのスペックは、Core 2 Extreme QX9770ないしQX9650に、2~8GBのDDR3-1600メモリー、GeForce 8800 Ultra SLIないしRadeon HD 3870 CrossFire、水冷クーラー(オプションで空冷も可)、HDDないしSamsungの64GB SLC SSDを利用したRAID、それと1150Wないし1300Wの電源という凄まじい代物で、まさしくハイエンドではある。

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