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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第500回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー PowerPCでx86の市場を切り崩しにかかったIBM

2019年03月04日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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任天堂のWii/Wii Uにも採用された
第3世代PowerPC

 さて、PowerPC 604の後継はなぜか作られず、代わりにPowerPC 603eをベースに高性能化を図るという決断が下された。これがPowerPC 740/750シリーズで、第3世代(G3)という方が通りが良いかもしれない。

PowerPC 750

 パイプライン段数は5段となり、4命令同時解釈、4命令同時実行に増強されたが、回路規模はPowerPC 604よりも小さいものだった。こちらはプロセスの微細化が積極的に行なわれたこともあり、多数の派生型(740/750・745/755・750CX・750CXe・750GX・750VX・750CL)が生まれている。

 ほかにも例えば任天堂のWii/Wii U向けに750ベースのコアが利用されるなど、けっこう長期間にわたって使われたコアである。

最後の世代となった
第4世代PowerPC

 このPowerPC 740/750をベースにSIMD演算エンジン(AltiVec)を搭載したのが、Motorolaで開発されたMPC7400シリーズで、業界的にはG4として知られている。こちらは主にMotorola(途中でFreescaleに社名変更)が製造したが、一部IBMの製造による製品も混ざっている。

MPC7400

 SIMD以外に倍精度FPUのサポートやマルチプロセッサー機能の強化、それと旧来の(88K互換の)60x busに加えて新しいMPX busのサポートなども追加された。

 そのPowerPCのメインストリームの最後の製品が2002年のPowerPC 970である。こちらは、いわばPOWER 4のサブセットという扱いで、命令セットは完全にPowerPC ISAであるが、内部構造は限りなくPOWER 4に近い。

 FreescaleはこのPowerPC 970を使わずに、独自のe500というコアと、これをマルチプロセッサー化したe500mc、そのe500mcを64bit化したe5500といったコアを開発して、自社のネットワークプロセッサー(PowerQUICC/QorIQ)向けに採用している。

 さて、これと並行してIBMで組み込み向けにリリースされたのがまず1994年のPowerPC 401である。これを若干高性能化したものがPowerPC 405、さらに性能強化したのがPowerPC 440で、これはQCDOCBlueGene/Lでも採用されたので覚えておられる読者もいるだろう。

 このPowerPC 440を無理やりマルチプロセッサー対応に魔改造したBlueGene/P専用のものがPowerPC 450、命令拡張などで性能を引き上げたのがPowerPC 460とPowerPC 470となる。

 ただPowerPC 405あたりからは、さまざまなアプリケーションに組み込まれて使う方が多くなっており、単体で組み込みプロセッサーとして目にするケースはあまりなくなっている。

 また連載446回で説明した通り、IBMはPowerPC 4000シリーズのラインナップをまるごとAMCCに売却している。

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