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MQAやハイレゾCDにも対応、SP1000Mなど第4世代機

ここまで進化していたハイレゾ機、Astell&Kernの最新機能を探る

2019年01月13日 13時00分更新

文● 小林 編集●ASCII

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フラッグシップの一角「SP1000M」を中心にその魅力に迫る

 この記事では、現在のハイレゾプレーヤーはここまで来ているという点を紹介していきたい。第4世代機の中では最新の「A&futura SP1000M」を中心に据える。音質/機能/使い勝手のすべてが最高水準であることに加えて「携帯性」という利点も兼ね備えているのが特徴。Astell&Kernの機種としてはもちろん、数あるハイレゾプレーヤーの中でも、とびぬけた魅力を持った製品に思える。

 実売価格はギリギリ20万円台に収まる。といってもほぼ30万円。ハッキリ言って高価だが、内容的にはSP1000と同等で10万円近く低い価格設定だ。後述するように、第4世代機共通の多彩な拡張性も備えている。携帯ハイレゾプレーヤーとして、最高水準の機種であるのはもちろんだが、単品ハイエンドのプレーヤー製品に匹敵する使い方ができ、音質も引けを取らないと考えれば、割高な感じはあまりしなくなってくる。

SP1000M。標準モデルはブルーのアルミ筐体だ。

 デジタル信号をアナログ信号に変換するDAC部には、旭化成エレクトロニクス(AKM)の「AK4497EQ」をデュアル(左右独立)で搭載。最大384kHz/32bitのPCM、最大11.2MHzのDSDのネイティブ再生に対応する。クロックは、200Fsと超低ジッターのVCXOクロックとなる。このあたりはSP1000と同等で、SP1000譲りの切れがよく、正確なサウンドが楽しめる。

第4世代Astell&Kernの主な仕様
機種名 A&ultima
SP1000
A&ultima
SP1000M
A&futura
SE100
A&norma
SR15
出力(アンバランス) 2.7Vrms 2.1Vrms 2.0Vrms 2.0Vrms
出力(バランス) 3.9Vrms 4.2Vrms 4.1Vrms 4.0Vrms
S/N(アンバランス) 120dB 120dB 122dB 122dB
S/N(バランス) 122dB 123dB 123dB 122dB
歪み(アンバランス) 0.0005% 0.0007% 0.0007% 0.0008%
歪み(バランス) 0.0008% 0.0006% 0.0006% 0.0009%
クロックジッタ 30ピコ秒 25ピコ秒 800フェムト秒 70ピコ秒

 ほかもSP1000とほとんど差がないが、アンプは少し異なる。バランス駆動時の出力は4.2VrmsとSP1000の3.9Vrmsよりもさらに高くなり(アンバランス駆動時は2.1Vrmsで、SP1000より低い)。バランス駆動時のS/N比やひずみ率もそれぞれ123dB(+1dB)/0.0006%(-0.0002%)に向上している。

 チップの型番などは公開されていないので、細かな違いは不明だが、アンバランス駆動とバランス駆動で出力がほぼ2倍になっている点は、SP1000よりも後の機種のノウハウを取り入れたものだろう。SP1000の発売から1年超の時間が経過したあとの製品なので、その間に蓄積したノウハウを反映しているのだろう。

MQAだけでなく、ハイレゾCDの再生まで可能となった

 バランス駆動やネットワーク再生、DSDのネイティブ再生、aptX HDへの対応など、早いタイミングで様々な機能を取り入れてきた、Astell&Kern製プレーヤーだが、この数ヵ月のファームウェアアップデートで、これもほぼ完璧なものになった。12月のファームウェアアップデートで「MQAファイルの再生」にようやく対応。さらに「Apple Lossless形式の32bitファイルの再生」も可能となっている。

MQAファイルを再生している画面。ジャケット写真の上部にMQAロゴと352.8kHzの表示が見える。

 一昔前なら、192kHz/24bitのPCMに対応していれば、ハイレゾプレーヤーとして合格と言えた。しかし、いまハイエンドプレーヤーを選ぶなら、MQAへの対応に加えて、384kHz対応DACの搭載が必須だろう。昨年は、MQAファイルをCDに入れて提供するMQA-CDが話題を集め、ユニバーサルミュージックの「ハイレゾCD」シリーズでは、352.8kHzのデータを収録している。384kHzのPCMデータは従来から、2LなどのレーベルがDXDという非圧縮の形式で配信してきたが、音源数は限られていた。この状況も変わるはずだ。

 ちなみに、MQAファイルの再生した携帯プレーヤーはすでに多く存在するが、ネット配信でダウンロードしたり、MQA-CDからリッピングしたりして取り込むのが一般的だ。しかし、Astell&Kernのプレーヤーでは、1月の最新アップデートで、MQA-CDの直接再生も可能となった。MQA-CDは興味深い技術だが、対応する外付けDACの種類が限られ、再生環境を整えるのが少し大変だ。純正の外付けCDドライブ「AK CD-RIPPER」シリーズと組み合わせる必要があるが、後述するように、Astell&Kern製プレーヤーは単品コンポで組んだシステムとの相性もいいので、歓迎すべき機能だろう。

AK CD Ripper MKIIと組み合わせたところ。CDを本体にリッピングするだけでなく直接再生もできる。

再生中の画面。ジャケット写真がレコードのようにクルクル回る演出がなかなか楽しい。

MQA-CDを再生している画面。画面下部に352.8kHzのMQAであるという記載が確認できる。

トラック情報や楽曲名なども分かるため、CDプレーヤーより再生しやすい面も。

Wi-Fi接続しておくと、CDの読み込み時にGracenoteのデータベースを参照する。

本体底部のUSB端子で接続。上部のExternal USBアイコンの下を見るとAK Ripperを認識しているのが分かる。

リッピングせず、直接CD再生をしたい場合は、事前に設定でCDプレーヤーにチェックを入れる。

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