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ショートレビュー

Astell&Kern最高クラス機が1000ドルも安価に、「SP1000M」を聴く

2018年09月18日 14時20分更新

文● 小林 久 編集●ASCII

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 Astell&Kernの最上位機種「A&ultima SP1000」は、音質の高さもさることながら価格やサイズの面でも、ド級というのにふさわしい重厚なモデルであった。銅筐体とステンレス筐体の2種類があるが、画面サイズは5インチ、若干重い銅筐体のモデルでは重量が約387.9gあり、ちょっとしたものである。

SP1000M

 重さはオーディオ機器にとってデメリットばかりではないが、もう少し軽快に最高級の音質を持ち運びたいと考える層もいるだろう。そんなユーザーに向けて開発されたと想像されるのが、SP1000のフォローアップモデル「SP1000M」である。

 サイズは4.1インチディスプレーでサイズは幅67.9×奥行き16.9×高さ117mm。重量は203g。180g以上も軽く、サイズもジャケットの内ポケットやYシャツの胸ポケットに入る程度だ。米国での販売価格は2399ドル(約26万8600円)+税となっており、高価ではあるが、SP1000と比べれば1000ドルほど安価だ。もちろん内容に関しては、SP1000同様、第4世代のAstell&Kernプレーヤーの特徴をふんだんに盛り込んでおり、遜色はない。

 国内の発売時期などについてのアナウンスは今のところない状態だが、一足先に実機に触れる機会があったので簡単にその特徴と印象について紹介しよう。

SP1000の使いやすさをより軽量・小型の筐体に

 まずは外観だが、筐体素材はAstell&Kernが使い慣れたアルミ合金製となっており、軽量化の理由となっている。色は鮮やかなメタリックブルー。右側に配置したホイールなど、デザイン面での印象はSP1000に近いが、電源ボタンを上部に配置したり、プッシュタイプのmicroSDカードスロットを装備したりと、下の機種と近い面もある。サイズ的には男性としては手が小さめの筆者でもしっくりとくるし、ポケットなどにも入れやすい。

特徴的なホイール
角が複雑な面に落とされている。

 MにはMINIやMOBILITYに加えて、MAXIMUM(最高音質)という意味も込められているそうだが、いい音でも持ち運びがおっくうになれば活躍の機会はその分減ってしまうので、率直に言って小型化はうれしい点だろう。小型によってバッテリー容量が3300mAh(SP1000は3700mAh)と減っているが、旭化成エレクトロニクス(AKM)の「AK4497EQ×2」のデュアルDAC仕様になっている点やオクタコア(8コア)のSoCを搭載、最大384kHz/32bitのPCMと最大11.2MHzのDSDに対応する点などはSP1000と変わらない。内蔵メモリーは128GBと半分になっている。

2.5mmのバランス駆動用端子を備える。電源は上部に移動した。

 逆にアンプに関しては、バランス駆動時で4.2VrmsとSP1000の3.9Vrmsより高くなった(アンバランス駆動時は2.1Vrmsで、SP1000より低い)。バランス駆動時のS/N比やひずみ率もそれぞれ123dB(+1dB)/0.0006%(-0.0002%)とそれぞれ向上している。アンバランスとバランス時で出力がちょうど2倍になっており、このあたりはSP1000の後に出たAK70 MK2以降の機種と共通する部分だ。Astell&Kernのアンプ設計に対する考え方に転換があったことが垣間見える。

Type-C端子は底部に。microSDカードはプッシュして入れるタイプに

 なお、細かな点としてはVCXO Clockの精度は200Fsとなり、クロックジッターも25psになった。SP1000の派生モデルではあるが、新世代の技術を積極的に取り入れている面もあり、完全なサブセットモデルというわけでもなさそうだ。

低域の量感が増し、音に包まれる豊かな中低域の再現へ

 試作段階のサンプルだが、実際に音も確かめてみた。筆者は以前からSP1000(ステンレスモデル)を評価用に使っており、その音調については慣れているが、大枠の傾向としては近い。ただし、SP1000と比較した場合、より豊かに出る低域の量感や音の広がり感などには違いがある。優劣については、判断しにくいが、SP1000Mのほうが音場がより広くなる(空間的に広がるというよりは音に包まれる感じが増す)半面、高域の伸びだったり、音のディティールの表現などはわずかに甘くなる印象もあった。

側面を見ると凝ったデザインだと分かる。

 個人的にはSP1000を初めて聴いたときの、左右がピッタリと合った恐ろしいぐらいの定位感であったり、微細な信号まで鮮烈に描き切る解像感の高さなどは薄まっているようにも思えたが、このあたりは現代的な音調に合わせたという見方もできるし、筐体素材やアンプ部の仕様変更による影響が出ている部分とも言えるだろう。音に関しては、こちらのほうが好きという意見も当然出てくるだろう。

 SP1000Mの価格は、ESS製DAC搭載の「A&futura SE100」よりは700ドルほど高価なレンジの機種であり、クオリティ面ではSP1000のそれを踏襲している。

 音質面の魅力に加えて、DSDのネイティブ再生や無線LAN、aptX HD/aptXへの対応など多機能機でもある。欲を言えば、早期のMQA対応も望みたいところではあるが、市場にあるプレーヤーとしては、UIの使いやすさも含めて、ほぼ死角のない機種と言える。

ウォークマンZX300と比べても高さと薄さは同じぐらい。

 このところ競合の動きも盛んなハイエンドDAPではあるが、特に20万円以上の超高級DAPのカテゴリをけん引してきたAstell&Kernの次の一手として、国内正式発表も期待して待ちたい。

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