来年「綱渡り」になりそうなiPhone:
アップルiPhoneビジネス転換のとき
2018年12月25日 09時00分更新
●自ら築いた高い壁、iPhone 8
そもそもiPhone XRの不調と貿易戦争は関係のないニュースではありますが、いずれもアップルにとってネガティブに反応している構造が見えてきました。
あらためてiPhone XRが不調である理由を考えると、スマートフォン不況以上に2018年中頃から続いているiPhone 8の人気もあるかもしれません。
iPhone 8はA11 Bionicプロセッサを搭載した4.7インチ、ホームボタンを採用する最後のiPhoneでした。ちょうどこの連載でも、iPhone 8の長期的な人気の予測については7月に指摘した通りです。機械学習処理をするニューラルエンジンを備え、ビデオ編集からARに至るまでの処理をいまだに上位に入るパフォーマンスでこなせる製品です。
iPhone 8は、9月12日の発表会で併売モデルとしてラインアップに残され、100ドルの値下げをされました。64GBモデルのiPhone 8が、599ドルで販売されるようになったのです。これに対し、iPhone XRは、画面もプロセッサもカメラ機能も向上していますが、150ドル高くなってしまいます。
しかも、iPhone XRには大きなサイズしか用意されていません。小型で人気のあったiPhone SEはラインアップから消滅し、サイズの面では実質的にはiPhone 8がiPhone SEの後継モデルと位置づけることもできます。
価格とサイズの両方をおさえたいユーザーにとって、2018年にiPhoneを買い換えようとすると、iPhone 8がぴったりという選択に落ち着いてきます。
数字が公表されていないので中身は分かりませんが、iPhone XRがトップセールスであるとはいえ、アップルの予想以上に、iPhone 8とiPhone XSシリーズが受け入れられているのかもしれません。
この連載の記事
-
第317回
Apple
アップル初のApple Parkでの開発者イベント、初公開の「Loop Building」とは -
第316回
Apple
「Mac Studio」アップルの多様すぎる接尾語について考える -
第315回
Apple
アップル「Mac Studio」登場で生じる、ラインアップへの疑問 -
第152回
Apple
アップル「MacBook Pro」ポート増加は敗北なのか -
第151回
Apple
iPhone分解アートと、Appleが目指す未来 -
第150回
Apple
アップル新型「MacBook Pro」どの構成で買うべきか -
第149回
iPhone
アップル「iPhone 13」4つの魅力 -
第148回
iPhone
アップルiPhoneラインナップから浮かび上がる2つのこと -
第147回
iPhone
アップル製品ラッシュふたたび? -
第146回
iPhone
アップルはiOS 15で「時間の支配権」をユーザーの手に取り戻させようとしている -
第145回
Apple
アップル新型「iMac」驚きの電源 - この連載の一覧へ