首は振るものの泳ぎ出さない……
さて、筆者の出目金――「金吉」(きんきち)だが、なぜか太陽光でも白熱電灯でも、ただただ首を振るだけで一向に泳ぎ出さない。
製造販売会社での製品テストの段階でも「金魚が泳ぎません」という質問やクレームが多いと想定されたようで、取説のスペースも極めて大きい。
そして、それに関連すると考えられる純正アクリル水槽以外の“器えらび”の注意を含めると半分近いスペース感覚だ。
取説に記述されているQ&Aの代表質問の回答として、ソーラーパネルは太陽の方を向いているか? ではじまり、動きのきっかけのつくり方、水槽内の水量のチェック、金魚に付いた気泡の問題、付属品以外の器選びのポイント……とその内容は「金魚が動きません」に対応する代表的な項目だ。
残念ながら筆者の場合、それらをすべてチェックし試してみたが、最終的に筆者の金魚は最初から同社のウェブページのように円弧を描いてスイスイとは泳いでくれなかった。
見た感じは水槽のすみっこの方で首だけを左右に振っている“ストレスを蓄積した金魚”のような状況だった。
水量を変えても、金魚の体に付着した気泡をすべてチェックして取り除いても、ソーラーパネルの向きをどんなにいじっても、太陽から白熱灯まで光源を変えても、仕組みのよく分からない調整ダイヤルとかを指示通り時計回りに回しても、何も改善しなかった。
当初は返品を考えたが、たとえ最速で返品、再出荷処理がされたとしても、Amazon経由だと1週間は無駄にしてしまいそうで、予約して衝動買いしたメリットがまったくなくなってしまう。
そこで、本来ならやってはいけないことの筆頭である本体台座の分解チェックをやってみた。
ちなみに、読者諸兄はくれぐれも“動きに納得できない”時でも、決して分解組み立てはしないようにしよう。
もしどうしてもやりたい時は自己責任で。
台座を分解して動作の仕組みを把握する
分解チェックに至ったのは、どうも調整ダイヤルを回しても空回りのように全く反応がなく、指先に何のタクタイル感すら感じないことが最大の理由だった。分解したことで、動作メカが完璧に分かったのは得した感じだった。
台座の中は、中央にある外周がジグザグの大きな歯車の縁に1個のマグネットユニットが取り付けられている。
マグネットユニットには左右に適度な距離を置いて強力なマグネットが側面に2個取り付けられている。そして台座のフタ側には、このマグネットユニットの小さな突起を左右に首振りさせるようにジグザグのガイドレールも付いている。
太陽エネルギーで回転する台座の中の大きな歯車が、ジグザグガイドレールによりマグネットユニットを左右に振りながら回転運動する。
金魚は内部に配置された金属のウエイトが、左右に首を振りながら円運動するマグネットユニットに追随しようとするのが基本的な動作原理だ。
分解組み立てと動作原理を理解し、何度かマグネットユニットの向きを変えたりしたおかげで、筆者の「金吉」はやっと金魚らしい雰囲気で優雅に泳ぐようになった。
最終的に筆者のカラクリ金魚はウェブページで公開されているイメージに近い雰囲気で泳いでくれた。
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