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「HAMR」や「MACH.2」などの新技術を実用化、ハードディスクの物理的限界を突破し続ける

1台100TB超の未来も! データセンターHDD「Exos」でシーゲイトが考えていること

2018年08月03日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: 日本シーゲイト

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データセンター向けHDD「Exos」シリーズでシーゲイトが狙うもの

 前述したとおり、シーゲイトでは昨年、データセンター向けのハイエンドHDDを「Exos」ブランドに統合し、技術投資を継続してさらなる技術進化を図っていく方針を明らかにしている。その背景にあるのは、ここまで述べてきたような企業データの位置付けの変化と、データセンターストレージにおけるHDDの役割の変化だ。

データセンターストレージにおけるこれからの課題と、シーゲイトが「Exos」シリーズのHDD製品で考えるソリューション

 ExosブランドのHDDは「Xクラス」と「Eクラス」という2つのシリーズで構成されている。

 Exos Xクラスは「ハイパースケール」向けと位置づけられた、3.5インチでヘリウム充填型の大容量モデルだ。キャパシティとパフォーマンスのバランスを重視しており、現在は旧「Enterprise Capacity」シリーズの大容量モデル(10/12TB)がリブランドされて、「Exos X10/X12」としてラインアップされている。現行モデルでも1ラックで最大10PBの大容量を実現できるスケーラビリティが魅力だ。

 もう一方のExos Eクラスは「ラック/エッジコンピューティング」向けと位置づけられており、幅広いユースケースに対応するラインアップを有している。旧「Enterprise Performance 15K」や「同 10K」、旧Enterprise Capacityモデル(容量帯:2~8TB)がEシリーズにリブランディングされており、2.5インチと3.5インチ、1万5000rpm/1万rpm/7200rpmと、高速性から高容量まで豊富な選択肢が揃う。技術的に成熟したエアー(空気)充填型のトラディショナルな製品であり、信頼性やコストパフォーマンスの高さも特徴である。

Exos Xクラス/Eクラスそれぞれの特徴。Xクラスは「ハイパースケール」向け、Eクラスは「ラック/エッジコンピューティング」向けという位置付け

 それでは今後のデータセンターストレージ市場の変化、特にフラッシュストレージの普及にともなって、このラインアップはどう変わっていくだろうのか。簡単に言うと、HDDの中心的な役割を「データ爆発に備える大容量ストレージの実現」と位置付け、その方向性により特化していくことになるというのがその答えである。

 まずXクラスでは、今後さらにスケールアップ(大容量化)を進めていく。現行の12TB製品はヘリウム充填型の“第2世代”にあたるが、次世代14TB製品のサンプル出荷もすでに始まっており、今年末までには量産化と製品出荷がスタートする。その後も、来年には16TBモデル、そして2020年には20TB製品の出荷計画がすでにアナウンスされている。こうした継続的な大容量化を進めていくために、Xクラスでは後述するような先進技術も次々と投入されていく。

 一方のEクラスは、これまで主にパフォーマンス(高速性)重視のワークロード向けに使われてきた製品群であり、SSDへの置き換えも徐々に始まっている。シーゲイト自身も、SASやSATA、NVMeなどに対応するSSD「Seagate NYTRO」シリーズを発売しており、SSD移行の動きは今後さらに加速するだろう。ただし、一般に企業データセンター製品は5年、10年と息が長く、ストレージやサーバーのHDD需要もすぐになくなるわけではない。そのためシーゲイトでは、顧客ニーズのある限りはEクラスHDD製品の供給を続けていく方針だという。

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