チーフアナリスト兼データサイエンティストのジョン・ヤング氏は、常に大容量のデータ・ストレージを利用し、進歩を続ける技術を活用している。
ヤング氏は「エリート スポーツ コーチ」として16年間活躍した後、「セントラルコーストマリナーズサッカークラブ」で「チーフアナリスト兼データサイエンティスト」へ転身。選手の目標の設定からシーズン中の対策を練り、選手全員の活動評価と分析を担当したとのこと。
ヤング氏の主たる役割は、それぞれの試合で発生する数ギガバイトにのぼる規模のデータをすばやく処理するとともに、相手チームのデータを収集し、データとスポーツ科学の過去の事実に基づき、コーチが指導に役立つデータを選び提供することだという。けがを減らし、パフォーマンスを向上させ、アスリートの活躍を拡大するのに役立つためにも、データを重視しているとのこと。
各選手の心拍数、肌の温度、発汗、歩行に関する情報など、一試合あたりの分析対象データは約180億バイトのデータとなる。ヤング氏には、コーチや選手、ほかのオブザーバーが気付かない、データを見る能力があり、推測、仮定、仮説を取り除くため、事実の塊であるデータの見方、重要なポイントを探し当てることにかなりの時間を費やすという。
シーゲイト リージョナル ヴァイスプレジデントのロバート・ヤン氏は「プロスポーツも、ひとつのビジネスです。大企業同様にそこに属するデータ・サイエンティストは、データの分析、評価、結論を引出す役割を担っています。彼らは現場での判断に役立つ事実を膨大な量のデータから非常に迅速に得るという、非常に高い期待に応えなければなりません」とコメント。
また、ヤン氏は「私たちは、データ・ストレージとアクセスのための新しく高度なソリューションを引き続き開発していくとともに、それを待ち望んでいる多くのユーザーがいることを確信しています。 データ・サイエンティストの存在価値と役割が幅広くなってきているため、テクノロジー・ソリューションは、膨大な量のデータを使用可能かつ有益にするという課題に取り組むために、データ・ストレージとアクセシビリティ、セキュリティ、容量および拡大・拡張要件に対応しなければなりません」とコメントしている。
ヤング氏は、スポーツ業界でのデータ・サイエンティストになるには、データを理解することができるだけでは不十分だと語っている。コミュニケーションスキルと、データ発見、解釈、およびそのデータを他者に教えて理解してもらう能力も不可欠。一方で興味深いことに、コーチの経験は必須ではなく、特定のスポーツに秀でていないこともデータを客観的に見ることができるメリットにつながるとのこと。
スポーツデータサイエンス界の初期段階では、米国の32のNFLチームのうち2チームだけがデータ分析のスタッフを採用し、4チームが地元のリーグに入っている状況であった。しかし、ヤング氏をはじめとする関係者は、スポーツのデータの収集、集積、分析をすることを続けるとともに、そこに潜む価値あるデータの利用に、高い需要を見いだしているという。