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アスキー・ジャンク部リターンズ 第218回

見た目は意表を突いているが:

透明コーラ「コカ・コーラ クリア」期待したけど……

2018年06月02日 12時00分更新

文● モーダル小嶋/ASCII

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「コカ・コーラ クリア」
日本コカ・コーラ
6月11日発売
160円前後(500mlペットボトル)
https://www.cocacola.co.jp/press-center/news-20180601-11

限りなく透明に近いコーラ

 コカ・コーラシステムは炭酸飲料「コカ・コーラ クリア」を6月11日から発売する。価格は500mlペットボトルで160円前後、280mlペットボトルが130円前後。いきなり言ってしまうけれど、要するに「透明なゼロカロリーコーラ(レモン入り)」である。発売に先がけて試飲する機会を得たので、さっそくレポートしよう。

コカ・コーラ クリア

 透明なコーラというと、1993年に国内発売された透明なノンカロリー飲料「タブクリア」を思い出す人もいるのではないか。当時アメリカで人気だった「クリスタルペプシ」(正確にいうと、そのノンカロリー版)に対抗して開発されたものだが、日本でのヒットには結びつかなかった。

 しかし25年(四半世紀!)経ち、日本で透明な飲料のブームが来ている。気を吐いているのがサントリーだ。2017年に「サントリー天然水 PREMIUM MORNING TEA レモン」「サントリー天然水 PREMIUM MORNING TEA ミルク」などを発売し、「透明な紅茶」という新ジャンルを開拓した。

 開発の背景には、「フレーバーウォーターは見た目がジュースっぽく、デスクに置くには子供っぽい」や、「大人になってからレモンティー飲料は甘さが気になり敬遠しがちになった」などという消費者の不満を解消する目的があったそうだ(「サントリー天然水 PREMIUM MORNING TEA レモン」リリースより)。

 一方、ネットでは、透明なので水と思われる外見であるため、たとえば公共機関の窓口で働く人には「仕事中にジュースを飲んでいる」という苦情があるので便利だとか、会議などにも持ち込みやすいだとか、水とお茶以外は飲めない日本社会に適応した飲料だとか、センセーショナルな騒ぎ方をする人もいるようである。いずれにせよ、注目を集めているといって差し支えないだろう。

 そのような透明の飲料に刺激されてか、日本コカ・コーラも動き始めた。「日本のお客様は夏の製品に革新性を求める度合いが高まることから、『コカ・コーラ クリア』は日本で企画され、米国本社で開発されました。」(リリースより)。今年4月には凍らせて飲む「コカ・コーラ フローズン レモン」なども同じ経緯で発売されており、最近の日本コカ・コーラは攻めの姿勢を見せているようだ。

レモン果汁をイメージしたようなイラストも

ゼロカロリーなので、甘味料で甘さがついている

 味、甘さ、酸味、刺激などの絶妙なバランスのために、さまざまな原材料、フレーバーを吟味したとのこと。特に、液色に必要不可欠なカラメルが使えなかったことが大変だったという。調整と試飲を重ね、50種類以上のサンプルを作り、最終的にレモン果汁を加えて完成したとしている。

グラスに注いでみると……

何が入っているんだかなんだかよくわからなくなってしまった

 さっそく飲んでみたけれど……うーん……。率直に言ってしまうが、よくも悪くも、思った通りの味。ゼロカロリーの味で、レモンの香りがする。それ以上の何かは、ない。もちろん、ひどくまずい、というわけではない。破綻のない味だし、コーラの風味もなくはない。逆に言えば、ただそれだけ、ともいえる。歯切れが悪くて恐縮だが、なかなか肯定的に評価しづらい。

 それにしても、何かを食べる/飲むうえでやはり視覚はとても大事らしく、透明なのにコーラの味がすると、ちょっと口の中がパニックになるようだ。じっくりと液色を確かめながら飲むと、どうにもしっくりこない。飲む機会があったら、試しに目を閉じて飲んでもらいたい。「あ、思ったよりコーラだ」と感じるだろうから。味そのものになじめない気分がするのは、やはり透明な外見も影響しているのかもしれない。

今回はグルメ担当のナベコさんにも飲んでもらった。「子供の頃、缶のコカ・コーラを飲みきれなかったんですよね。だからお兄ちゃんに飲んでもらったんですけど、ぜんぶ飲まれちゃうんですよ。妹としての弱い立場を実感していました」

ナベコさん「甘い。カラメル色素がないとコーラの味のニュアンスがこんなに変わってくるとは。ドリンクバーのコーラにレモンスカッシュを足したらこんな感じになると思います。甘いと思ったけど、ノンカロリーだから、グビグビ飲んでもダイエット的な観点ではあまり問題ないのがうれしい」

 コーラといえばカラメルによるあの色が強く印象付けられているわけで、透明なコーラということに驚きを覚え、新鮮味を感じる人は少なくないだろう。ただ、それで手に取った人が、再び求める味なのかと言われると……とても悩んでしまう。もちろん、透明であることによるメリットもあるかもしれないが(炭酸水と誤認させられるとか)、ちょっといまいちなゼロカロリーのコーラ、そんなレベルにとどまってしまっているように思える。外見のインパクトで期待しただけに、すこし残念だ。

 とはいえ、透明な飲料が広まりつつある日本市場で、コカ・コーラ クリアがどのように受け入れられるかについては、興味深いところではある。筆者の要素を裏切って大ヒットするかもしれない。そのときは、「モーダル小嶋、見る目がないな」と笑ってやってください。

はたしてヒットするのだろうか




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