2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されるのを前に、プログラミングが家庭教育や子供の習い事としても関心が高まっています。2018年5月16日~18日の3日間、東京ビッグサイトで開催されている教育ITの展示会「第9回 教育 ITソリューション EXPO」(EDIX)では、家庭教育にも使える子供用プログラミング教材やプログラマブルなロボット玩具が国内外から集まりました。
Scratchライクなプログラミング環境でロボットを作って動かす
子供向けのビジュアルプログラミング言語(ドラッグ&ドロップの簡単な操作でプログラミングできる言語)といえば、MITメディアラボが開発した「Scratch」が有名。国内では、お笑い芸人の厚切りジェイソンがNHKのプログラミング番組で紹介したこともあり、特に人気が高まっています。
今回のEDIXのプログラミング教材ゾーン「みらいの学びゾーン」では、Scratchライクなプログラミング環境とロボットを組み合わせて動かす教材が多く展示されていました。
中国Roboblog社の組み立てロボット教材「Qoopers」は、アルミニウム合金のパーツと電子部品を組み立てて作るプログラマブルなロボット玩具です。凹凸のある地面を走行できるキャタピラー、自動で障害物を回避するための赤外線センサー、表示する文字や色をプログラムできるLEDパネルを備え、Scratchライクなプログラミング環境から細かく動作を設定できるようになっています。Python、C++、JavaScript、Swiftを使った高度なプログラミングも可能。子供から大人まで楽しめそうです。
中国Maleblock社の「makeblock」(国内販売代理店:ソフトバンク C&S)も、組み立てから楽しめるプログラマブルロボット教材です。組み立て難易度に応じて、対象年齢8歳以上の「mBot」、12歳以上の「mBot Ranger」、15歳以上の「Ulimate 2.0」の3つのロボットキットを用意しており、それぞれ拡張パーツを使って変形させることができます。エントリーモデルのmBotは、ライトセンサー、超音波センサー、ライントレースセンサーを搭載し、Scratchライクなビジュアルプログラミングソフト「mBlock」からプログラミング、操作が可能です。
中国DOBOT Magicianのロボットアーム(国内販売代理店:TechShare)は、より職業教育の要素の高いプログラマブルロボット教材です。Scratchライクな付属ソフト「DobotStudio」を使って0.2ミリの精度で制御できるロボットアームの先端に、物をつかむためのクリッパーやバキュームなどのアタッチメントを取り付けて、自動車などを組み立てる作業をプログラムできます。オプションで、工場の製造ラインを小規模に再現したコンベアベルトも提供しており、実際にドイツの自動車メーカーの社員研修に導入されているそうです。
展示会場では、ビジョンセンサーとロボットアームを組み合わせて、TensorFlowで学習した「お菓子」を画像認識して取ってくるキットを紹介していました。
「micro:bit」でウェアラブルデバイスやロボットを作る
教育向けマイコンボード「マイクロビット(micro:bit)」を使った教材も多く展示されていました。マイクロビットは英国放送協会(BBC)が中心に開発し、イギリスの11歳~12歳の子供全員に無償配布されたもの。Web上で無償のビジュアルプログラミング環境も提供しています。現在はマイクロビット財団がプロダクトを管理し、日本ではスイッチエデュケーション社とオデッセイコニュニケーション社が販売代理店になっています。価格は1台2000円(税別)。
スイッチエデュケーションは、マイクロビットの各種拡張モジュールキットを出展。ラジコンカーを作るキット、2足歩行ロボットを作るキットなどがありました。特に注目されていたのは、マイクロビットをウェアラブルにする「バングルモジュールキット」でした。バングルモジュールキットはボタン電池からの電源供給によってマイクロビットをスタンドアロンで動作可能にするもので、リストバンドが付属します。手首に装着し、通信機能を使ってグループでゲームをしたり、モノを動かしたりといった遊び方ができます。
中国CH MAKER Edの「Grove Zero」シリーズは、マグネットのブロックモジュールを重ねるだけで組み立てられるプログラマブルロボット教材ですが、マイクロビットを取り付けてカーロボットを作るキット「Bit kit」を用意しています。ロボットカーは各種センサーモジュールを搭載し地面に書かれたラインの色を識別して走行するほか、各種ビジュアルプログラミング環境からマイクロビットにプログラムを実装して様々な操作をすることができます。
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今年のEDIXの「みらいの学びゾーン」には、中国のプログラミング教材ベンダーが多く集まっていました。ブース担当者に話を聞くと、中国市場でも子供のプログラミング教育はここ数年大変盛り上がっているそうです。記事では紹介しきれませんでしたが、もちろん日本企業も各社が幼児向けから高校・高専向けまで、多数のプログラミング教材を紹介していました。