いかに層数を稼ぐかが今後の課題
一方Samsungはやや遅れたものの、2009年には最初のV-NANDの構造を発表し、2014年には量産ラインに乗せてみせた。Samsungは製造方法について細かくは説明していないが、下の画像を見る限り、大枠では同じと思われる。
画像の出典は、2017年のISSCCにおけるSamsungの論文より
では3Dにするとなにがうれしいかといえば、容量は高さ方向にどれだけ積むかで稼げるので、無理に微細化を進めなくても済むということだ。
そもそも微細化をあまり進めると、BiCSの製造ではないが、穴を正確にあけるのも、そこに電極を通すのも一苦労である。必然的に微細化はほどほどに留め、そのぶん層数を増やす方向に注力することになる。
逆に言えばプロセスノードは30~40nm台(正確な数字は各社公表していない)で留まっており、このあたりだとセルの寿命はかなり長めになる。現在のV-NANDはTLCでの記録になっているが、寿命はPlaner型のMLCと同等あたりになっており、これは微細化しなかったおかげとしてもいい。
ちなみにSamsungはZ-NANDという製品も実用化しているが、これは構造的にはV-NANDと一緒で、ただし記録方式をSLCにしたものである。こうなるとさらなる長寿命と高速性が実現できる(ただしその分容量は減る)。
このZ-NANDは昨年のSmasung SSD Forum Japanでも説明があったが、今年1月にSZ985 Z-SSDとして公式に発表された。
データセンター向けということで価格はそれなりと思われるが、それこそインテルの「Optane SSD DC P4800X」の対抗製品という位置づけにあたる。
ちなみに現在、3D NAND Flashを製造している各社は、いずれもさらなる層数を積み上げるべく奮闘中である。東芝は200層の製品の実用化に向かって開発中で、Samsungはすでに第5世代製品が96層になることを昨年発表しており、その次で100層を超えるのは間違いない。
NAND Flashへの容量増加のニーズがなくならない限り、各社は引き続き層数を増やすべく奮闘することになるだろう。
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