このページの本文へ

「2018年オープンソースプロジェクトのトレンド」レポートを読み解く

エンジニアの「学ぶ意欲」がこれまでになく高まっている、GitHubの調査

2018年03月06日 13時00分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 米GitHubは2018年2月、「GitHub.com」上のアクティビティに基づく調査レポート「2018年オープンソースプロジェクトのトレンド」を発表した。

 GitHub.comは、オープンソースソフトウェア(OSS)で広く使われているバージョン管理システム「Git」のレポジトリをWeb上で共有するサービス。現在、約2800万ユーザーが利用し、約8000万のOSSプロジェクトをホストしている。同調査では、2018年のOSSプロジェクトの動向を把握するために、GitHub.com上での3種類のアクティビティに着目した。

 1つ目は、2016年に2000人以上のコントリビューターを獲得し、かつ2017年にコントリビューター数が最も増えたプロジェクト。2つ目に、2017年にプロジェクトのレポジトリへの訪問数が最も増えたプロジェクト。3つ目に、2017年に新しいStar(閲覧者による「いいね!」のアクション)を最も多く獲得したプロジェクト。この3種類について、それぞれ100個のプロジェクトを特定し、プロジェクトの成長指標とした。

 調査によれば、「クロスプラットフォーム開発フレームワーク」関連のプロジェクト、「ディープラーニング」関連のプロジェクトが顕著に活発化していた。また、コーディングスキル習得や、ソフトウェアエンジニアが仕事の面接に合格するためのノウハウといった情報が多くのStarを獲得している傾向が明らかになった。

JavaScriptによるクロスプラットフォーム開発が活況

 調査ではまず、Googleがオープンソース化した「Angular」、Facebookがオープンソース化した「React」、GitHubも開発に関わっている「Electron」のプロジェクトでコントリビューター数、訪問数が大きく増加していることがわかった。例えば、Angularのコントリビューター数は2016年から2.2倍に増加している。

 「例えばElectronは、HTML/CSS/JavaScripitなどのWeb開発技術を使って、Windows/Mac/Linuxで動作するデスクトップアプリケーションを開発するためのフレームワークです。この調査結果から、JavaScripitなどのWebベースのテクノロジー、およびクロスプラットフォーム開発がトレンドになっていることが読み取れます」(ギットハブ・ジャパン ソリューションエンジニアの池田尚史氏)。

ギットハブ・ジャパン ソリューションエンジニアの池田尚史氏

 もともと、GitHubで最も多くホストされているプロジェクトはJavaScript関連のものだという。Angular、React、Electronは、JavaScriptで開発したWebのUI(ユーザー・インタフェース)をデスクトップアプリケーションでも動作可能にするフレームワークであり、開発プロセスの短縮に寄与する。

盛り上がる「TensorFlow」プロジェクト

 AI(人工知能)への関心の高まりを受けて、AI開発を支えるテクノロジー「ディープラーニング」のOSSプロジェクトも活発化している。ディープラーニングフレームワークについては、Google(TensorFlow)、Facebook(Caffe)、Microsoft(CNTK)、PFN(Chainer)などAI開発企業各社がオープンソース化しているが、今回の調査からは、「TensorFlowが圧倒的に盛り上がっている」(池田氏)傾向がみられた。TensorFlowプロジェクトの訪問数は2016年から2017年にかけて2.2倍、TensorFlow上に構築したモデルのライブラリへの訪問数は5.5倍に増加した。

 AI関連では、そのほかにも、Pythonで書かれたニューラルネットワークライブラリ「Keras」、Mozillaがオープンソースとして公開した音声認識モデル「DeepSpeech」のプロジェクトへのコントリビューター数、訪問数が増えていた。

エンジニアのスキル向上、キャリアアップに情報ニーズ

 GitHub.comは従来から、ソフトウェアのソースコード以外の文書などのレポジトリとしても活用されている。例えば国内では、特許庁が2017年11月に「知的財産デュー・デリジェンス」を説明する「標準手順書」のドキュメントをオープンに策定するためのプラットフォームとしてGitHub.comを採用した。

 GitHubでも、社内で策定した知的財産アグリーメントの規約文書をGitHub.com上で公開し、他社がそのまま取り入れたり、フォークして利用したりといったことができるようにしているという。

 今回の調査では、このようなGitHub.com上のソースコード以外の情報について、2017年は「コーディングの習得方法」、「ソフトウェアエンジニアが仕事の面接に合格するためのノウハウ」、「コード作成やプロジェクト管理のベストプラクティス」といったコンテンツが多くのStarを集めている傾向が明らかになった。「ソフトウェアエンジニアのプレゼンスが上がり、報酬も高くなっていることを受けて、スキル向上やキャリアアップへの意欲がこれまで以上に高まっていることがうかがえます」(池田氏)。

■関連サイト

カテゴリートップへ

ピックアップ