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飲食店向け経営支援システム「Airメイト」のデータ分析基盤にBigQuery採用

BigQueryは圧倒的に安い、リクルートライフスタイルがGCPに惚れた理由

2018年02月02日 10時30分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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 リクルートライフスタイルは、飲食店オーナー向けの経営支援システム「Airメイト」を開発し、2018年春から提供を開始すると発表した。店舗ごとの売上げ、客数、客単価、人件費率、原価率の日別推移を可視化し、売上げや客数の減少要因や、メニューごとの最適価格を分析して経営改善策を提案するもの。データ分析基盤として、Google Cloud Platform(GCP)のBigQuery、Cloud Dataflow、Google Cloud Storageなどを使っている。

 2018年1月31日、グーグルが開催したメディア向けの事例紹介セミナーで、リクルートライフスタイルのAirレジ 事業責任者 山口順通氏とAirメイト サービス責任者 甲斐駿介氏が、Airメイトのサービス概要やGCP上に構築したサービス基盤について説明した。

「平日の宴会客が減っている」が一目瞭然

リクルートライフスタイルのAirレジ 事業責任者 山口順通氏

 リクルートライフスタイルは、従来からiOS向け無料POSレジアプリ「Airレジ」や、無料の飲食店予約管理システム「レストランボード」などの飲食店向けのサービスを提供してきた。「Airレジのユーザー数は、現在30万1800店舗になる」(山口氏)という。

 今回リリースしたAirメイトは、Airレジの会計情報や、レストランボードの予約情報、同社が運営する「じゃらん」「ホットペッパーグルメ」のサイトの情報などを収集・分析し、飲食店オーナーが、各店舗の経営状況、売上げや客数などの変動要因、経営改善のためにとるべきアクションを把握できるように支援するシステムだ。クリックだけのシンプルな操作で扱えるように設計されている。

 例えば、「集客分析」機能では、客数が減少している店舗について、60~30日前と直近30日を比較して「どんなお客様が減っている?」を要因分析し、「予約」「平日」「大人数」「二次会」の客が減少しているといった数字を一目で分かるように表示する。「平日、予約の大人数の宴会が減っていることが分かれば、ホットペッパーグルメに広告を出したり、宴会メニューを見直したりといった手を打つことができる」(甲斐氏)。

「どんなお客様が減っている?」を要因分析し、「予約」「平日」「大人数」「二次会」の客が減少しているといった数字を一目で分かるように表示する

 店舗の経営データは、日別に集計する。「インデックス」機能では、日ごとの売上実績から月間売上の着地予想を表示。売上目標との乖離度合いのほか、仕入額、人件費比率の推移を可視化する。「人件費比率は店舗側でコントロールできる数字。来客予想のデータからバイトのシフトを調整することで、月の利益も予測可能になる」(甲斐氏)。

売上目標との乖離度合いのほか、仕入額、人件費比率の推移を可視化

「二階堂」を注文した客には「きびなごの一夜干し」をおすすめ

リクルートライフスタイルのAirメイト サービス責任者 甲斐駿介氏

 メニューごとの注文率、売上構成比、粗利構成比を分析する「メニュー分析」機能も実装する。メニュー同士の相性を分析することもでき、例えば、麦焼酎の「二階堂」について、 「二階堂が注文されたときの平均客単価」と併せて、「二階堂と一緒に頼まれやすいメニュー」「一緒に頼んだときの客単価」を表示する。甲斐氏は、「このデータをもとに、店員が二階堂のオーダーを受けた際に、客単価が高くなるおつまみとして“きびなごの一夜干し”を一緒におすすめする、といったアクションができる」と説明した。

 同社は、Airメイトと同時に、スマホで使える注文受付システム「Airレジ ハンディ」をリリースしており、メニュー相性分析のデータはAirレジ ハンディとも連携する。「二階堂の注文を入力したスマホ上にメニュー相性分析のデータが表示されるので、新人アルバイトでも、適切な料理をおすすめできるようになる」(甲斐氏)。

「二階堂」と一緒に頼まれやすいメニューと、そのメニューを同時注文した際の客単価を表示

非エンジニアでも書ける数十行のコードで大規模データ分析基盤が完成

 同社では、Airメイトを数十万店舗の規模で展開したい考えで、大量データを扱う拡張性のあるサービス基盤としてGCPを採用した。Airメイトが提供する経営データの導出には、フルマネージドのアナリティクスDWH「BigQuery」を中心に、データ処理ワークフローを定義・実行するマネージドサービス「Cloud Dataflow」、DataRobot社の機械学習サービス「DataRobot」を使っている。

GCP上に構築されたAirメイトのデータ分析基盤のアーキテクチャ

 Airメイトのデータソースであるホットペッパーグルメ、じゃらん、Airレジ、レストランボードなどのサービスは、それぞれサービスのデータベースを持っている。「サービス側のシステム上でデータ分析をすると、サービスの品質に影響が出る」(甲斐氏)との懸念から、今回、サービスのデータベースとは別に、GCP上にデータ分析用のデータベース環境を構築した。各サービスのデータベースからBigQueryへデータを吸い上げ、BigQueryやDataRobotの分析エンジンでデータを加工している。BigQueryからDataRobotへのデータ処理フローのつなぎこみなどはCloud Dataflowで行う。

 「人的リソース、技術的な面から、Airメイトの基盤にはGCP一択だった」と甲斐氏は説明する。Airメイトは、甲斐氏を含めて非エンジニア3人で立ち上げ、「Googleの20%プロジェクト的に」(甲斐氏)開発したサービスだ。フルマネージドのBigQueryは、データベースやインフラの管理は不要で、「非エンジニアでも書ける簡単なSQLコードを数十行書くだけで、数億レコードをさばけるシステムが作れた」(甲斐氏)。

 来客レコードを分析して50パターンほどに分岐してデータを扱うなどの、やや高度なロジックはSQLでは書ききれなかったそうだが、それでもPythonで10~15行程度を書くだけで実装できた。BigQuery もCloud Dataflowも、「運用レスでGUIかコマンドでシンプルに扱える。データ分析のパワフルさ、構築と操作のシンプルさでGCPを選んだ。将来的にAIを組み込みたいとなったときも、簡単に拡張できる」(甲斐氏)。

 コストの面でも、GCPが第一選択肢だった。「数億レコードを、スケーラブルな状態で運用するクエリサービスとして、BigQueryは圧倒的に安い」と甲斐氏は言う。同社は、別サービスでAmazon Redshiftも活用しているそうだが、実際に、Redshiftと比較してBigQueryは大幅にコストがダウンするという。

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