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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第538回

路地での写真がいい感じ 古い住宅街で猫に会う

2017年12月11日 12時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家

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古そうな路地でキリッとした地域猫に出会ったの図。交通量が少ない路地なので猫も道路のど真ん中。私も道路のど真ん中でしゃがんで同じ目の高さでこんにちは(2017年10月 富士フイルム X-T2)

古そうな路地でキリッとした地域猫に出会ったの図。交通量が少ない路地なので猫も道路のど真ん中。私も道路のど真ん中でしゃがんで同じ目の高さでこんにちは(2017年10月 富士フイルム X-T2)

 やはり街で猫に出会いたいと思ったら古い街並が残ってる、昔からの住宅街だよな、と思うのである。

 今、猫を飼うといったら室内飼いが常識。家の外に自由に出られるような飼い方をすると、病気になりやすいとか事故に遭うとかいじめられるとか近所の迷惑になるとか(庭を勝手にトイレにしたり)、いろいろとデメリットが多い。

 ついでに、外との出入りを自由にするとノミを拾ってきてちょいと厄介なことになったりもする。ええ、厄介でしたよ、ノミ取りは。

1993年にフィルムカメラ(まだデジカメはなかったので)で撮った猫。当時、半野良状態でうちに出入りしていた猫。昼間はたいてい庭に出てて、ほかのおうちでは他の名前でエサを貰っていたもよう。ノミには悩まされた。このあと、ペット可のマンションを探し、引っ越すとき連れて行き、室内飼いに切り替えたのである

1993年にフィルムカメラ(まだデジカメはなかったので)で撮った猫。当時、半野良状態でうちに出入りしていた猫。昼間はたいてい庭に出てて、ほかのおうちでは他の名前でエサを貰っていたもよう。ノミには悩まされた。このあと、ペット可のマンションを探し、引っ越すとき連れて行き、室内飼いに切り替えたのである

 猫をアパートの一室に閉じこめたらかわいそう、という人も昔はいたが、人間基準で猫の幸不幸を判断しちゃいけないわけで、猫的にはそれなりに動き回れるスペースがあれば特に問題ないらしい。

 猫を室内で飼うのが常識となったのは結構最近のことで、少なくとも昭和が終わるまでは(もう30年近く前だが)、庶民の飼い猫も自由に外を歩き回っているのが当たり前だったし、野良猫も当たり前のようにいた。首輪をつけてない飼い猫もけっこういて、両者の境界もアバウトだった。

 その頃、猫は他人の家の迷惑になってなかったかというとそんなことはなくて、よその家に上がり込んだりよその庭をトイレにしたり、時には魚をくわえたどら猫をサザエさんが裸足で追っかけたりしてたわけだが、町の人は猫なんてそんなもんだと思って許容してたのである、たぶん。

 人の意識って一朝一夕には変わらないわけで、古い住宅地や路地で猫をよく見かけるのは、昔の感覚で猫を飼ったり世話してる家がまだあり、猫が屋外をうろうろするのは当たり前感覚が残っているのだろう。

 東京でも表通りの喧噪を避けて古い路地に入るといきなり道の真ん中に猫がいたりするから面白い(冒頭写真)。

 そういう古い路地は猫も結構人なつこくて、あ、猫がいる、と思ってカメラを取りだしてしゃがむと、いきなりこっちへやってきたりするのである。

ブレているのは急に猫が来たので。カメラのセッティングが間に合わなかったのだけど、その分躍動感があるってことで。遠くからこっそり撮ろうと思ったら、歩き出してちょっとびっくり(2017年10月。オリンパス OM-D E-M1 MarkII)

ブレているのは急に猫が来たので。カメラのセッティングが間に合わなかったのだけど、その分躍動感があるってことで。遠くからこっそり撮ろうと思ったら、歩き出してちょっとびっくり(2017年10月。オリンパス OM-D E-M1 MarkII)

 あ、ちょっとまて、写真撮ってからにしてくれと思う間もなく、こんなことになるから面白い。

近寄ってきたと思ったらいきなりコレである。左手で頭をなでながら(というか掻きながら)、右手で撮影(2017年10月。オリンパス OM-D E-M1 MarkII)

近寄ってきたと思ったらいきなりコレである。左手で頭をなでながら(というか掻きながら)、右手で撮影(2017年10月。オリンパス OM-D E-M1 MarkII)

 首輪をしてるので飼い猫なのかと思いきや、耳に切り欠きがあるので去勢された地域猫のようでもある。

 突然こんな話からはいったのは、数年前から「東京古道散歩」などの街歩きのガイドをしており、下見と称して歩きまわるおかげで街の猫とちょくちょく出会うのである。

 猫を探して歩いてるわけじゃなくて、何か面白い歴史の名残でもないかとキョロキョロ歩いてるのだが、やはり古い街の方が猫をよく見かけるなあと思うのだ。

 たとえば地形チェックのつもりで横の路地に目をやると、もこもこしたふわっとした物体がにゅるっと出てきたりするのである。

 その場でさっとしゃがんで望遠にして撮ったのがこちら。

逆光ならではのシルエット猫。奥に人の頭がちらっと見えてるので高低差がよくわかる。古い地図を見ると路地の向こうに谷が描かれていたので、それを狙ってカメラを向けたら猫がいた次第(2017年10月 オリンパス OM-D E-M1 MarkII)

逆光ならではのシルエット猫。奥に人の頭がちらっと見えてるので高低差がよくわかる。古い地図を見ると路地の向こうに谷が描かれていたので、それを狙ってカメラを向けたら猫がいた次第(2017年10月 オリンパス OM-D E-M1 MarkII)

 猫と路地と地形。こういうカップリングは楽しい。

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