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伝説の電子楽器がNAMMショーで復活、作りこみがやばい!

2017年02月04日 12時00分更新

文● 四本淑三

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シンセになったスタイロフォン「GEN X-1」

製品サイトより

 デュブレックはスタイロフォン久々の新製品「GEN X-1」を発表しています。あの元祖ガジェット楽器が、トチ狂ったノイズまでぶっ放す強烈な仕様のシンセサイザーに生まれ変わって帰ってきました。

 オリジナルのスタイロフォンが発売されたのは1968年。1970年代なかばで生産は終わっていましたが、デヴィッド・ボウイが「スペース・オディティ」で、またクラフトワークが「デンタク」で使ったこともあり、知る人ぞ知る楽器として密かな人気は続いていました。そしてついに2007年に「Stylophone S1」として復刻され、おりからのガジェット楽器ブームもあって、日本でもリバイバルヒットに。Koishistyle先生のおしゃれな演奏も懐かしいです。

 その10年後に再び登場したのが「GEN X-1」です。オリジナルから引き継いだのは、スタイラスを接点に接触させて演奏する仕組みと、電池駆動でスピーカー内蔵というモバイル楽器としての基本コンセプトのみ。あとは完全にシンセサイザーです。

 小さいながらも操作できるパラメーターは十分。エンベロープ・ジェネレーターはアタックとディケイ、フィルターはローパスでカットオフとレゾナンス、モジュレーション用のLFOは矩形波と三角波が選べ可変幅も広そう。音源となるオシレーターの波形は選べませんが、側面のボタンで、1オクターブ、2オクターブ下の信号の付加、そしてパルスウィズモジュレーションもいじれます。そしてエフェクトとしてフィードバックの効きまくるディレイも付いています。

 加えてスタイラス用キーボードの上には「サウンドストリップ」という、リボンコントローラー的なタッチセンサーも加わっています。これでスタイラスだけでなく指の演奏も受け付け、なめらかなグリッサンドも激しい音程の上下動も可能に。これで十分にイカレた音が出せます。

 国内での販売は決まっていませんが、海外では77ドルでこの5月から発売開始。公式サイトではプレオーダーを受け付けています。

 「うーん、でもこれってコルグのmonotronと同じじゃない?」という気もしないではありませんが、それはエルビス・コステロに向かってお前はMr.Childrenのパクリだと言うようなものです。いや、そうとも言い切れないか。まあ、それはともかく、ガジェット楽器ブームの10年後に元祖が出して製品として意味深いものを感じざるを得ません。

■関連サイト



著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

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