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ASCII STARTUP 今週のイチオシ!第40回

乾電池1つで変わる世界 爆売れMaBeeeの裏側

2016年10月14日 07時00分更新

文● コヤマタカヒロ 聞き手・編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影●曽根田元

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 スマートフォンから乾電池の出力をコントロールできる乾電池型IoT機器「MaBeee」がビックカメラをはじめとした全国約140店舗で今夏販売をスタートした。商品自体の魅力もさることながら、ハードウェアスタートアップが扱う製品が、いきなり大手家電量販店での店頭販売でスタートするのはあまり例がない。今回はMaBeeeを手がけたノバルス株式会社、代表取締役の岡部顕宏氏にお話をうかがった。

ノバルス株式会社の岡部顕宏代表取締役

有志による部活動開発で始まったIoT乾電池

 まず、簡単にMaBeeeについて紹介しよう。本体は単三乾電池サイズのケースとなっており、その中に単四乾電池を入れて利用する。本体内のスペースに、スマートフォンと通信するためのアンテナや制御用の基板などが内蔵されている。そこで、電池からの出力をスマートフォンからコントロールできる仕組みだ。

 「使用方法は、単三電池を入れるところに、ひとつMaBeeeを納めるだけ。たとえばライトの場合、通常はスイッチを入れると点灯するが、これではつかない。スマートフォンアプリからMabeeのスイッチを入れると点灯、消灯ができる。このままだとただのリモコンだが、そのほかに6つのモードがあり、明るさが設定できたり、ミニ四駆に装着したときなどは、傾けたり、声を出したりすることで走らせるといったこともできる」(岡部氏)

 アプリでは、6つのモードで電池の出力を調整でき、スマホの傾きや声の大きさ、そして、スマホとの距離、タイマーなど多彩な設定ができる。このほか、まだ実装はできていないが、MaBeeeからスマートフォン、そしてその先にクラウドに連携することも想定しているという。

 岡部氏の前職は精密機器製造などを手がけるセイコーインスツル。しかし、MaBeeeは会社での仕事ではなく、仲間うちでの趣味による「闇研究」といわれるものだったという。電池をワイヤレスでコントロールするというアイデアを具現化するため、会社をまたがった有志による開発がヤミ研「100日ラボ」でスタートした。試行錯誤する中、「この企画を埋もれさせたくない」と感じた岡部氏は2015年にセイコーインスツルを退職し、ノバルスを立ち上げて、フルコミットメントのメンバーによってMaBeeeを作りあげていったという。

クラウドファンディングでの成功から大手量販店へ

 MaBeeeは2015年11月にクラウドファンディングMakuakeに出品したところ、わずか1時間で目標金額の50万円を達成。最終的には、600万円を超える出資を勝ち取った。結果、3ヶ月間の予約で2000台のMaBeeeを出荷したという。

 そして、迎えたのが2016年8月4日からの一般発売だ。元々は玩具店や、パソコンショップなどを中心に展開を考えていたと語る岡部氏。そこに、大手量販店のビックカメラ側から取り扱いたいという話がきた。

 しかし、MaBeeeはこれまでにないIoT機器でもあり、できることが一見しただけではわかりづらい面もある。そのことは岡部氏も認識しており、玩具店などには展示するときに装飾や説明を入れるなど、売り場提案をしているという。では、なぜビックカメラはMaBeeeをいち早く取り扱うことにしたのだろうか。

 「もちろん、クラウドファンディングの実績で関心を引いたことはある。さらにビックカメラとして、新しいカテゴリーの商品を置くことによる情報発信を、『ここにくれば何か新しいものがある』ということを発信したいと考えたのではないかと思う」(岡部氏)

 ビックカメラでの展開は、全店舗でこそないものの、非常に大きな扱いだった。中でも有楽町店では、入り口に特設コーナーを設置されたほか、乾電池売り場や、専用のIoTコーナーに大きく展示。またゲームコーナーやおもちゃコーナーなど、店内各所にも設置されたという。ハードウェアスタートアップとしては、珍しい大々的な一般発売となった。だが、その大々的な展開にも背景がある。

画像提供:ノバルス

 「もうひとつ、MaBeeeは乾電池という商品特性上、ほかの商品と組み合わせて使うことが必須。ユーザーがほかの商品と一緒に買うクロスマーチャンダイジングにつながるということ。そこまで考えて展開された印象だ」と岡部氏は今回の展開の背景を語った。

 このようなクロスマーチャンダイジングについて、岡部氏にはセイコーインスツル以前の職歴で、ゲームソフトをコンビニエンスストアで展開した経験があった。数万店舗に商品を一斉に卸し、商品を組み合わせて購買を喚起する売り場作りをしていたことがあり、「肌感覚は持っていた」と語る。

 結果的に、販売の初動ではクラウドファンディングで売り上げた2000台を超える出荷を実現。合わせて、Amazonなどの一部通販サイトでは、欠品する事態も発生するまでとなった。

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