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ASCII STARTUP 今週のイチオシ!第29回

個人を認識してやり取りを学習するソーシャルロボットがこの冬登場

Pepperの半額!ドラえもんを目指した“愛され”ロボット:unibo

2016年07月01日 07時00分更新

文● 柳谷智宣 聞き手・編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影●曽根田 元

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 ロボット市場はまだまだ未知で、将来も開けている。総務省の資料では、2025年には約5.3兆円、2035年には約9.7兆円の市場になると予測されている。日本でも2014年にソフトバンクのPepper(ペッパー)が登場して話題をさらった。とは言え、まだまだパーソナルロボットが普及しているとは言いがたい状況だ。

 そんな中、とても興味を惹かれるロボットを開発しているスタートアップに取材できた。2014年8月に創業し、現在2期目のユニロボット株式会社だ。同社が開発を進める”次世代型のソーシャルロボット”「unibo(ユニボ)」は、2016年冬からリリースの予定。今回、試作機を手元に置きながらお話を伺ってみた。

unibo

●「unibo」仕様
本体サイズ:幅260×奥行き160×高さ320mm、重量:2kg程度、センサー:タッチセンサー・明るさ・赤外線、学習リモコン、可動部:首・腕、ディスプレイ:フルHD液晶タッチディスプレイ、カメラ機能:顔認証・顔検出・顔登録、スピーカー:ダイナミックスピーカー(外部接続可能予定)、通信:有線LAN・無線LAN
※上記は2016年7月時点の情報です。一般発売される際は、製品仕様が異なる可能性があります。

家庭の真ん中にいるパーソナルロボットを作りドラえもんを目指す

ユニロボットの酒井拓代表取締役(右)と前田佐知夫氏(左)

 まずはユニロボット株式会社代表取締役の酒井拓氏。慶應義塾大学経済学部と理系の出ではないものの、住友商事に入り、IT企画推進部のプロジェクトマネージメントを手がける。グローバルの経営情報のシステムや連結会計のシステムなどに関わり、15年ほど勤め、その後に代表取締役に就任した。

 また、取材にはソフトウェア開発を担当する前田佐知夫氏も同席していただいた。前田氏はキャリアチェンジ組。介護の仕事からITの世界に来て、14年目。元々組み込み系の制御システム開発の会社にいたのだが、仲のいいメンバーとベンチャーを立ち上げたところ、その時に酒井氏と知り合い、ロボットを一緒に作らないかという話になったそうだ。

 会社名は最初からユニロボットとのことで、創業当初からuniboの構想があったのかと思いきや、そうでもないらしい。最初はロボットの制御プログラムを開発していて、そこで小型ロボットの可能性を見い出したのだ。

 「当初は、小さいポケミ(ポケットミー)という製品を考えており、2015年2月には日経新聞にも取り上げられた。しかし、商業ベースに乗せるには難しいと判断し、まずは家庭のおじいちゃん・おばあちゃんから孫まで3世代のど真ん中に置けるロボットを作りたいと言うことになった。そこで、このunibo(ユニボ)を投入した」と酒井氏。

 起業したころは、丁度スマホがコモディティ化して勢いが落ち始めた時で、次はウェアラブルと言われたが、そこまで伸びなかった。そこで、ソーシャルロボットという概念を志して作ったという酒井氏らは(筆者もだが)ちょうどドラえもん世代。テクノロジーで大きな社会貢献をしたいという思いから、ドラえもんを目指してチャレンジしているとのことだ。

 「ユニロボットの”ユニ”はユニバースであり、オンリーワンにもかけて、個人のパートナーロボットとして、その人のことをわかってくれる唯一無二の存在という意味もある。そんなユニロボットから、”unibo”という名前を付けた」

ペッパーとの違いは個人を解析しライフログ化できること

 uniboはどこがすごいのか。尋ねると前田氏が答えてくれた。

 「uniboは話をする人に寄り添い、その人のことを学習していくというのが大きな特徴。BtoCでは各家庭に置いていただくというまさにドラえもんのような位置づけで、いろんなかゆいところに手が届くようにしたい」

 たとえば、ユーザーが「疲れちゃった」と発言すると、uniboが「大丈夫?」と応えてくれたり、癒やしの音楽を流してくれる。個人の趣味嗜好や日々の出来事を学習し、その人に合ったものを提供するという。本当に、個人に特化しているのがポイントだ。

 そんなリアクションには、機械学習による自然言語処理などの人工知能を駆使しているのかと聞いたところ、「機械学習も使っているが、ある程度のパターンマッチングも利用している。話しながら、その人の好き嫌いを個人のデータとして蓄積する形を取っている。全部がディープラーニングとか人工知能かと言うと、そこはまだ泥臭いところがたくさんある」と前田氏が笑って答えてくれた。

 日常の会話だと、一般的にはキャッチボールのように話すことが多い。日々の出来事を報告したり、質問したりして、キャッチボールが始まるのだが、このケースで言うと、語彙習得のハードルはそれほど高くないという。また、uniboは知らないことには「知らないよ」と答えるのもユニーク。どちらにせよ必ず何か言葉を返すようにしているという。

 「ところで……」と話題を作ったりすることもあり、ロボットは受け身で待っているところが多いので、自律的に質問してくるのが面白い。取材中も別にuniboに話しかけているわけではないのに、「どんなお話なんですか?」会話に割り込んできたこともあったのがほほえましい。

 次は、ストレートに既存のコミュニケーションロボット、「Pepperとの差別化」について聞いてみた。

 「現時点のPepperはクラウドを利用して学習し、集合知を共有するスキームだがuniboは個人のパートナーとして、利用者の趣味や嗜好を解析しながらレコメンデーションし、生活習慣を学習し、やりとりをライフログ化できるのが強み。あとは、一般家庭でできるだけ購入しやすい価格帯で提供する予定。価格帯設定は、利益を出すことよりも、あくまでもお客様目線を優先したもので、少しでも多くのご家庭で使ってもらいたいという弊社なりのメッセージ」だと酒井氏。

 特にこだわっているのは、「会話により学習する」という点だ。つまり、タブレットによるタッチをしながらユーザーの情報を登録するといった補助的な部分は排している。

 また、ロボットが人間のパートナーになるには、かわいいと思えるか、愛情を込められるかが重要。そのためデザインにはとてもこだわったそう。工業デザインのプロにも依頼し、何度もデザインを描き直した。顔の部分を液晶にしたのは、人によってかわいいと思う定義が異なるため。将来は、APIを公開し、表示される顔のデザインや音声を変えられるようにすることも考えているようだ。

 「家族や友達の声、好きなアニメキャラクターやタレントの声にできれば、個性が豊かになる。自分の好きな話者の声で話ができると、より愛着がわくと思っている。今後は株式会社エーアイと協業し、さまざまな話者を提供していきたい。また、少しお金かかるが、データをきちんと収録すればその人の声で音声合成もできるようになる予定。恋人とか亡くなったおじいちゃんおばあちゃんの声にすることも可能。uniboはスマートホームのハブになりうると思っている。パートナーとかペットに近い存在で、家族の一員を目指している」と酒井氏はビジョンを語る。

 せっかくプロトタイプがあるので、続いてはデモを体験してみた。

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