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新規ユーザー獲得費が半分になる「ゲーム実況」

2016年06月14日 11時00分更新

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YouTuber」という言葉もすっかり浸透し、いまやさまざまな業種におけるプロモーションの重要なポジションを担っているUGC(user generated content)動画。

その中でもひときわ活況で、独自の進化を遂げているゲーム業界の「ゲーム実況動画」について、今回はその実状とマーケティングにおける活用をテーマにします。

2016年2月、ドワンゴとワタナベエンターテインメントが共同で、ゲーム実況主などのプロデュースをするマネジメント会社「ワタナベアマダクション」を設立するなど、今後さらなる注目が期待されるゲーム実況には、どのような可能性があるのでしょうか。

そもそもゲーム実況とはいかなるものか

ゲーム実況とは、ゲームをプレイしている動画に対して、視聴者が実況コメントをする、あるいはプレイヤーが実況しながらゲームをプレイすることを指します。実況主体がプレイヤーなのか視聴者なのかは動画によって異なるものの、ゲーム実況動画とはつまり「第三者がゲームをプレイしている動画」のことです。

「人がゲームしている様子を見ているだけで楽しいのだろうか…?」と思う人もいるとは思いますが、この実況動画こそ、いまやニコニコ動画やYouTubeをはじめとした動画プラットフォームでの人気コンテンツとなっているのです。

その人気を裏付けるものとして、ドワンゴが開催するゲーム実況とゲーム大会のイベント「闘会議」があります。2016年1月30日から31日に開催された「闘会議2016」では、来場者数は4万5千人以上、その模様を配信したニコニコ動画の視聴者数は687万人にものぼり、「人がプレイするゲームを観る」というスタイルが広く受け入れられていることがうかがい知れます。

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引用:Gigazine http://gigazine.net/news/20160130-niconico-tokaigi-summary-nt2016/

実況動画を制作するユーザーを「実況主」と呼びます。実況主によってプレイスタイルやプレイするゲームはさまざまですが、人気の実況主には芸能人にも引けをとらない数の固定ファンがついています。

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人気実況主「キヨ」のtwitterフォロワー数

注目の実況動画配信メディア

かくも人気を博している実況動画は、さまざまなところで配信されています。主要なメディアを4つ紹介します。

1.ニコニコ動画

ニコニコ動画に存在する動画の、実に半分近くをゲーム関連動画が占めており、さらにそのほとんどがゲーム実況動画と、ゲーム実況でたいへんに活況があるメディアです。

特に、視聴者が動画上にテキストを残せるコメント機能と「実況」という形態の親和性が高く、実況主の動画と視聴者のコメントをあわせて楽しむという独特の視聴スタイルが確立されています。

2.YouTube

いわずと知れたワールドワイドの大型動画プラットフォームですが、ここでも数多くの実況主が自分のYouTubeチャンネルを持ち、実況動画をアップしています。ニコニコ動画に実況動画を配信している実況主が、同じ動画をYouTubeで配信するケースも多く、使われ方として大きな違いはないように思います。

ただ、パートナープログラムに登録して広告収入を得ることがニコニコ動画より容易なため、広告収入を目的とした実況動画の数はニコニコ動画より圧倒的に多いです。

3.Twitch

ゲーム実況動画を中心とした、世界最大のゲーム用ライブ配信メディア。海外ではFacebookのアクセス数を上回るほどの人気がありますが、日本ではゲームのライブ配信はニコニコ動画の「ニコニコ生放送」が主流で、まだまだ浸透しきっていない印象です。

しかし、2015年に日本支部を立ち上げ、2016年は日本での展開が本格化すると考えられるため、今後人気の実況主、人気のゲームコンテンツと組んで一気に攻勢をかけてくる可能性は大いにありそうです。

配信するためには有料会員になる必要があるニコニコ生放送と違い、完全無料で何時間でも配信できるという強みを持っているTwitchの展開には注目です。

4.AbemaTV FRESH!

テレビCMなどでの大々的なプロモーションが記憶に新しい、サイバーエージェントの生配信中心の動画メディア「AbemaTV FRESH!」でも、ゲームに実況動画には力を入れているようです。5月16日現在、ゲーム実況を配信するチャンネル数は実に51件。

先の3メディアと大きく異なるのは、ユーザーが自由に配信できるではなく、公式のチャンネルのみの配信となっている点です。ただ、その分、実況主は一般人から芸能人化していくことが予想されます。このあたりは、実況主をプロデュースする「ワタナベアマダクション」と大変親和性が高いのではと思います。

以上で紹介した他にも、CyberZのゲーム関連動画プラットフォーム「OPENREC.tv」や、トレンダーズのゲーム実況動画プラットフォーム「プレイム(現在α版)」など、ゲーム実況動画に関するメディアは乱立状態にあり、とても勢いが感じられます。

実況動画のプロモーション活用

そのようなゲーム実況主を、自社ゲームのプロモーションに起用するという試みがここ数年で大変、増加してきました。ゲームの魅力を引き出すノウハウを持ち、それを彼らの抱えるファンに伝えられる実況主は、プロモーションにおいて通常の広告とは異なる可能性を秘めています。

こちらの記事で、実際に実況主(記事ではYouTuberと表記されています)をプロモーションに起用したゲーム会社の事例と効果実績が掲載されています。

特に効果のところでは、

  • 再生単価は5〜8円程度
  • 新規ユーザー獲得単価は他広告(アドネットワーク)の1/2程度
  • 既存ユーザーの好感度上昇休眠ユーザー呼び戻しにも手ごたえ

と、ひときわ良好な結果になったことが共有されています。

記事中でも語られている通り、バナーなどの広告とは異なり「ユーザーが能動的に視聴する」コンテンツなので、このような効果が生まれたのだと思います。

ただ、数多いる実況主の中から、特性や費用感、スケジュールの合う人を探し出すのは簡単なことではありません。事務所に所属している実況主もいるものの個人で活動している人も多く、個別に打診から交渉・実施までの各種調整をするとなると、何人もの実況主にアタックするのはなかなか難しい状況です。

このような背景から、企業と実況主をつなぐマッチングサービスがこのところ増加してきています。

先の記事で紹介されている「iCON CAST」では、ゲーム実況主に限らず数多くいるYouTuberに対し、無料でゲーム実況の制作者を募集できます。応募してきたYouTuberの中から選定すれば、簡単に「実況主」を見つけ出せます。

また、AppStairが4月から国内で開始した「BUZZCAST」では、実況主の動画制作自体は無料(!)で、さらにそこからどの程度ユーザー獲得につながったかの分析まで可能となっています。

まとめ

実況主を活用したプロモーションは、まだまだ未実施のゲーム会社も多く、今後一層盛り上がりを見せることは間違いないと思います。

ただ、かつてのブログプロモーションと同様、「プロモーション実況動画」の普及が進むにつれて、敬遠されるリスクが生じてくる可能性があります。既にその前兆はあり、プロモーション実況動画の中には、ファンからの批判的なコメントがついてしまっているものもあります。

こうしたことを乗り越えていくために、今後は実況動画の構成力や根本となる仕組みがより重要になってきます。「ただ実況してもらう」のではなく、いかにプロモーションだという前提で楽しめる実況コンテンツにできるかを、実況主も含めともに考えていく必要がありそうです。

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