過去10年で最低の業績、HTCは……
最後にHTC。HTCは2015年に発表していたスポーツブランドのUnder Armourとの提携のもと、「UA Band」を発表した。スマートウォッチではなくフィットネスバンドとなる。それだけでなく、体重計(「UA Scale」)と心拍ベルト(「UA Heart Rate」)をセットで販売するというユニークなアプローチ。UA Band単体では180ドル。人気のUnder Armourのロゴがしっかり入ったデザインでこの価格なら割安感があるかもしれない。
HTCはこのほか、VRシステムの「Vive Pre」も会期中に披露した。2015年3月に発表したSteamVR搭載VRシステム「Vive」の2世代目となり、開発者向けに7000台を配布する予定とのこと。
気になるのが同社の体力だ。地元台湾のDigitimesの報道によると、2015年12月度の業績はこの10年で最低レベルという。売上高は65億1700万台湾ドル、これは前月(2015年11月)比36%減、前年同月比57%の減少だ。その一因として、最新の「HTC One A9」が振るわなかったのではとDigitimesは分析している(関連リンク)。なお、2015年通年の売上高は、前年比35%マイナスの1216億8400万台湾ドル(約4266億6400万円)という結果に終わった。
このように、スマホで存在感が薄くなっているHTCだが、VRにその補填を期待するのは難しそうだ。
対照的なのが、Huawei。CESでは上記のスマートウォッチのほか、フラッグシップスマートフォン「Huawei Mate 8」やタブレットといくつかの製品を発表した。Huaweiは2015年に大きな成長を遂げており、スマートフォンでは最も勢いのあるベンダーといってよいだろう。報道を見ている限り、CESでの発表内容はナンバー3としての自信を勢いを感じさせた。
中国勢ではMotorola買収の効果がいまいち見えてこないLenovoが、Googleの3D空間技術「Project Tango」をベースとしたスマホ開発計画を明らかにしたことにも注目しておきたい。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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