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「Flashコンテンツ」「Flash広告」は完全に死ぬのか? 現状と今後

2015年12月21日 11時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)、編集●ハイサイ比嘉

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 米Adobe Systemsが11月30日(米国時間)に発表した「Flash, HTML5 and Open Web Standards」というニュースが話題になっている。同社では「Animate CC」というWebアニメーション制作のためのプロフェッショナルツールを新たに提供し、従来まで「Flash Professional CC」と呼ばれていた製品を置き換えていくという。Animate CCのリリースは、Creative Cloud(CC)の2016年1月のアップデートのタイミングで行なわれるとみられ、CC関連の最新製品から「Flash」の名前を冠したものがなくなることになる。

 多くが知るように、Flash Professional CCはいわゆる「Flashコンテンツ」の制作ツールであり、これをHTML5ベースのコンテンツで置き換えるのがAnimate CCの役割となる。初報から半月以上が経過しているが、いまだAdobeの意図とFlashの行方について意見が交わされており、今回はこの辺りの情報を整理しつつ、Flashの今後について考えてみたい。

Flashコンテンツの需要はなぜ減ったのか?

 Flashの歴史は長く、Adobe買収以前のMacromediaの時代も考えれば20年近くにもなる。当時のWeb技術は未熟で、Flashで実現されるようなリッチコンテンツの表現は難しかった。そこで手軽にアニメーションやメニュー効果を付与できるFlash技術の利用が進むことになった。特にFlashの強化を促したのは2000年前後に行なわれた「ActionScriptへの対応」「各種動画フォーマット再生のサポート」で、これがWebブラウザ標準のプラグインとしての地位を確立することになった。

 Web動画の再生シーンでの呼び出しだけでなく、RIA(Rich Internet Application)分野での活用が進んで「Flex」といった製品も誕生するなど、元来のクリエイター向けアニメーション制作ツールから、企業のコンテンツ配信ツールや、企業内システムでのインターフェースなど、プラットフォームをまたいで利用できるツールとして活用されるようになった。

HTML5とJavaScript

 一方で、Flashの世界にも変化が訪れる。ひとつは「HTML5」の登場とJavaScript活用の高度化により、これまでFlashでないと難しかったWebアプリケーションの“リッチ化”が可能になったことで、特に「動画再生のサポート」は大きなインパクトとなった。

 当時は標準でサポートされる動画フォーマットの種類について議論があり、Webブラウザ間で対応が分裂するという事態に陥ったが、現在ではサイト側の実装とコーデックの選択次第で回避できる方法が確立されつつあり(「HTML5 の audio 要素と video 要素でサポートされているメディアフォーマット」)、YouTubeのようにHTML5に移行済みのサービスも出てきている。

 ストリーミング配信やDRM付きコンテンツ再生において、FlashやMicrosoftのSilverlightを要求するケースもみられるが、Adobe Primetimeなどのサポートもあり、特に後述のモバイル対応の必要からHTML5対応が進んでいる。

モバイル端末の台頭

 そして、トレンドとしてもうひとつ重要な要素は、モバイル端末の台頭だ。特にFlashをサポートしない「iPhone」の登場は、Adobeならびに関係者の意見を二分する大激論となった。Appleのサイトに故Steve Jobs氏がFlashについての見解をまとめた文章が残っているが、「オープン性」「Web技術」「セキュリティとパフォーマンス」「バッテリ寿命」「タッチ対応」の5つの観点からiPhoneにFlashを採用しない理由を説明している。

 当時、ゲームを中心にFlashコンテンツ全盛のころであり、iPhoneがFlashを採用しないことは開発者のネックのひとつになっていた。Appleとしては「他プラットフォームと共通の実行環境を用意することは、App Storeのエコシステムを破壊する」として、いわゆる「クロスプラットフォーム開発環境」の登場に神経を尖らせており、Adobeとのプラットフォーム標準を巡った綱引きの様相を呈していた。

 一方で、非力なモバイル端末にとってパフォーマンスやバッテリー消費の問題は大きく、さらにサードパーティに実行環境を開放することはセキュリティリスクの増加にもつながり、Jobs氏の説明も正しかったというのが多くの見方だ。

 なお、AppleはMac OS XについてもLion(10.7)以降のバージョンでFlash Playerのデフォルト提供を止めており、ユーザーが自らインストールする必要がある。

 結局、Facebookなどで盛り上がっていたブラウザゲームの市場は、ユーザーの利用トレンドがPCからモバイル端末へと移るにしたがって、FlashだけでなくHTML5や(AndroidやiOSの)ネイティブアプリへと拡大し、Flash内で閉じられていた環境が広く拡散する形となった。AdobeはAndroid向けFlash Playerの提供を終了し、iOS向けのFlash Playerがリリースされることはなかった。技術の進化とユーザーの利用形態の変化が、Flashコンテンツをそれほど必要としなくなったのが現状なのかもしれない。

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