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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第95回

iPad Proが良いからこそ悩む、タブレットとパソコンという概念の間の葛藤について

2015年12月11日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII.jp

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iPad ProとApple Pencil。パソコンと完全に別のものとしてとらえることができれば、もう少し簡単な話になるとは思うのですが、何しろ性能が高い分、クロスオーバーしてきていると感じています

 iPad Proは新しいデバイスで、やはり試すといろいろなことが頭の中を駆け巡ります。駆け巡りすぎて、本連載ですでに2回(第93回第94回)、iPad Proについて触れましたが、もう2回ほどおつきあい頂ければと思います。

 先週のサンフランシスコ・ベイエリアは、大荒れの様相でした。強い風雨をもたらす低気圧が、太平洋岸にパレードのように連続して西進してくるため、曇り→シャワー(霧雨)→ストーム(風強し)→冷たい北風→霧を3日間でループするような感覚です。

 実はこれが正しい北カリフォルニアの冬の天気であって、ここ3年間は低気圧が上手く通らず、降水量が少なすぎたわけです。さすがに3年分の渇水を解消するほどの雨は降らないとは思いますが、少しでも改善してくれれば、と恵みの冷たい雨を願うばかりです。

 大荒れだったのは天気だけではありません。サンフランシスコから南へ800kmほど下ったロサンゼルス近郊の街、サンバーナーディーノ市で起きた銃撃事件について、非常に多くの時間を割いて報道が行なわれていました。

 オバマ大統領が「テロ」と指摘したこと、銃規制の強化を訴えたことは評価されていますが、一方で問題も作り出してしまいました。特に後者は、規制前に購入しようと銃が飛ぶように売れているそうで、今年のホリデーシーズンの買い物はピストルという事態になっています。

 また、「テロ」と位置づけたことも複雑です。犯人夫婦のISとの直接的なつながりは認定されていませんが、女性はFacebookでISに忠誠を誓っていたと報じられ、組織に対する捜査では米国内のテロが防げないという突きつけられた事実が重くのしかかっていくことになるでしょう。

力業のパソコン、リセットしかないタブレット

 さて、話を本題へと進めましょう。

 iPad Proを使いながら考えていたことは、これからパソコンとタブレットの関係性を、自分の中でどうとらえていこうか、という話でした。パソコンとタブレットの仕組みがそもそも違うのはさておき、パソコンの方が現状では、ケアすべきことが多いな、と思ったからです。

 以前にも少し触れた通り、筆者の2012年モデルのMacBook Proは、しばらく使い物にならない状態でした。

 CPUが90%、ディスクアクセスが連続的に起き、あらゆる動作が重たくなっていたのです。OS Xを使っているとたまに見舞われるこの問題は、必ずしも悪いことではなく、Spotlight検索の索引作りをしていたことが原因です。

 まあ、マシン内検索もよく使うから「気が済むまでやらせておこう」と見守っていましたが、一晩明けても進捗が1/3にも満たなかったので、これはおかしいと思い始めました。その日は出かけていたので放っておきましたが、帰ってきても、まだ半分に届いていません。

 そこでターミナルを立ち上げ、索引作りをリセットするためのコマンドを3行入力しました。再度索引作りが動作し始め、今度はきちんと進捗していき、元どおりにファンも唸らず快適に動く状態に戻りました。

 iPadやiPhoneなどのiOSでも同様の索引作りの仕組みは動作します。しかしこれまで使ってきた中で、使い物にならないほどパフォーマンスが落ちるという経験はありませんでした。なんとなく、MacよりiPadの方が気楽に使えるな、という印象を持たざるを得ません。

 その一方で、いざとなったときOS Xでは、ターミナルからコマンドを入力して力業で解決することができます。それができないのも、iOSデバイスの特徴です。ユーザーが行える解決策は限られていて、以前のバックアップから端末を復元するか、工場出荷時の状態にリセットする作業くらいでしょう。それでも解決しない場合はApple Storeへ持って行くことになります。

 iOS以前からパソコンを使っている筆者からすると、力業でなんとかなる方が、どことなく安心感が持てるのですが、必ずしもそれが主流派ではないはずです。

 2つのものが目の前におかれて、どちらも魅力的である場合、非常に判断に困る場面が多々あります。今回は、そんな話です。あらかじめ言っておけば、最終的には「自分の中での決めごと」なので、良い悪いの話ではありません。また判断を間違っても、次の判断に生かせれば良い、というだけです。


(次ページでは、「iPad Proが良すぎると、逆に悩む「メインマシン」という概念」)

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