普及段階が待たれるスマートウォッチ市場だが、「Apple Watch」の効果があまり実感がない中で、11月に入って、大きな動きがあった。Tag Heuerから初のスマートウォッチの登場、Fossilによるウェアラブルベンチャーの買収、Android Wearのセルラー対応だ。今後、モバイルやガジェットとは関係ない時計メーカーが参入することで、スマートウォッチ市場はどう発展するのだろうか。
Tag Heuerの1500ドルの「Connected」で
Android Wearにハイエンド端末が登場することに
先週、腕時計ブランドのTag Heuerが初のスマートウォッチ「Connected」を発表した。価格は1500ドル、日本での価格は税抜16万5000円……さすがに高級ブランドにふさわしい価格帯だ。Tag Heuerは3月の「Baselworld 2015」でIntel、GoogleとともにAndroid Wearベースのスマートウォッチ開発計画を発表しており、これが実を結んだ形となる。
スペックを見てみると、同社の既存製品の「Carrera」をベースとし、Intelの1.6GHzデュアルコアプロセッサ「Atom Z34XX」を搭載している。OSはAndroid Wearのカスタマイズ版で、独自のインターフェースやアプリを含む。画面は360×360ドットの1.5型半透過LTPS液晶ディスプレイにサファイアガラスを採用。メモリーは1GB、ストレージは4GB、通信技術はBluetooth 4.1、IEEE802.11 b/g/nをサポート、Androidスマートフォンやタブレット、それにiPhoneやiPadと連携できる。
ジャイロスコープ、傾斜センサー、ハプティックエンジンなどの機能を持ち、Android Wearアプリが利用できる。気になるバッテリーだが410mAhのバッテリーを備え、持続時間は約26時間。取り外し可能なラバーバンドは7色展開、厚さは12.8mmで重さは52g。
いつもスマホを見ているのと同じように、こういったスペックだけチェックしているかぎりは、1500ドルの価値があるようには感じないようにも思えるのだが、それでも製品写真やビデオを見ていて、魅せられてしまうのはTag Heuerというブランド力のなせる技なのだろうか。
そこでふと、Huaweiが2月末のMobile World Congressで発表した「Huawei Watch」のことを思い出した。端末トップのRichard Yu氏がプレス向けイベントで得意そうにHuawei Watchを発表したとき、ちょっとした無理を感じた。
Huawei製端末のデザインの洗練度はここのところ群を抜いており、またスイスの時計職人も関わったというHuawei Watchは確かに、それまで見たスマートウォッチの中ではよい印象を持った。さらに、キャッチは”timeless design”、日本語にするなら”時空を超える”といったところだろうか。
しかし、どうしても(スマートウォッチではなく)“時計”として見ることができなかったのが、Huaweiが時計屋ではないという思い込みがあったからなのだろうか? 一方、Tag HeuerのConnectedは”時計”に見える。ちなみに、スマートウォッチのもっさり感の原因となっている厚さについては、Huawei Watchの方が11.3mmとTag Heuer Connectedよりも1.5mm薄い(にも関わらず、上記の感想なのだ)。
ガジェッドとしてみると特筆するようなこともないスペックも、”Connected”という当たり前すぎるネーミングも、Tag Heuerの狙うところだろう。彼らの対象ユーザーは必ずしもスマートウォッチを探しているガジェッド好きではなく、Tag Heuerのファンなのだろうから。
(次ページでは、「アメリカの腕時計ブランド、FossilがフィットネスバンドのMisfitを買収へ」」)
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