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T教授の「戦略的衝動買い」 第353回

バンド交換が簡単なKnot腕時計の京都組み紐ストラップを衝動買い! 

2015年10月31日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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レバーの付いたバネ棒で交換作業がラクに!

昔、フランスの革ベルトの老舗であるカミーユ・フォルネが開発した「アビエ式ベルト」(Knotでは“イージレバー”と呼ぶ)が現代に生きる……

昔、フランスの革ベルトの老舗であるカミーユ・フォルネが開発した「アビエ式ベルト」(Knotでは“イージレバー”と呼ぶ)が現代に生きる……

 Knotの腕時計にはすべてのストラップの取り付けに、世界的な腕時計ベルトメーカーであるフランス「カミーユ・フォルネ」が考案した「アビエ式ベルト」と同じ方式が採用されてている。Knotでは「Easy Lever」(イージーレバー、ピン付きのバネ棒)と呼ばれる仕組みだ。

おそらく市場の90%以上を締める一般的なバネ棒(上)とイージーレバー(下)

おそらく市場の90%以上を締める一般的なバネ棒(上)とイージーレバー(下)

 イージレバーは、腕時計本体を傷つけることもなく、手短にかつ安全にストラップの付け替え作業が行なえる便利な仕組みなのだ。アビエ式ベルトを採用していない市場のほとんどの腕時計は、内部にスプリングの仕込まれた多少伸縮する小さな棒状のピン(通称“バネ棒”と呼ばれる)でストラップを腕時計のラグと言われる部分に固定する。

トンファーに似た外形の“変形バネ棒”。側面に飛び出した突起をスライドさせると一方の端の出っ張りが引っ込み、バネ棒が簡単にラグ部分から外れる

トンファーに似た外形の“変形バネ棒”。側面に飛び出した突起をスライドさせると一方の端の出っ張りが引っ込み、バネ棒が簡単にラグ部分から外れる

 イージーレバーは名前の通り“レバー”の付いたバネ棒の一種だ。中国の武術に詳しい方なら、「トンファー」と呼ばれている武具に似ているといえば理解は早いかもしれない。

 バネ棒の側面から飛び出しているレバーを腕時計の中心線に向かって押せば、内部のスプリングが縮まってバネ棒の一方の突起が縮まってくれる仕組みだ。これによってバネ棒がラグから外れて簡単にストラップを交換することができるのだ。

従来のバネ棒を外すには絶対に必要な“バネ棒はずし”

従来のバネ棒を外すには絶対に必要な“バネ棒はずし”

バネ棒の両端にある引っ込む軸の段差をバネ棒はずしの先で引っ掛けて、押し込むことでバネ棒を押し縮め、腕時計のラグ部分よりストラップを取り外す

バネ棒の両端にある引っ込む軸の段差をバネ棒はずしの先で引っ掛けて、押し込むことでバネ棒を押し縮め、腕時計のラグ部分よりストラップを取り外す

 残念ながらこの簡単な仕組みを搭載していない世の中の腕時計の99%は、操作の難しい“バネ棒外し”と呼ばれる専用の腕時計工具を使用して、バネ棒のピン部分を押し込んで外す超面倒な作業を強いられる。

 腕時計が流通を経由してエンドユーザーに届けられてきた今までの時代であれば、この仕事は腕時計販売業者や修理業者の仕事でもあり、売上やサービスの一部でもあった。

 しかしメカニカルな腕時計はごく一部の高級腕時計になり、安価な腕時計はそのほとんどがクォーツ製品になり、修理そのものの機会が減少している。

 現在、マーケットに残った腕時計関連のビジネスは、年に一回から、運が悪いと数年に一回のバッテリー交換だけとなってしまった。当然、そういう時代には、腕時計のストラップをシーズナルに交換するとか、その日着ていくファッションに合わせて変更するなんて至難の業であった。

構造的に一般的なバネ棒より複雑になり、コスト高も避けられない

 アビエ式ベルト(イージレバー)はそういう腕時計の世界を変えてしまう実力はあったが、当然ながらコスト増にすぐに結びつき、実際には世の中に存在する腕時計のほとんどは旧態依然としたバネ棒方式や、デザインコンシャスな独自のストラップ装着方式なのだ。

 Knotの腕時計は自社の規格上、均一化されたストラップ幅の腕時計本体を2種類と、交換用ストラップをめったやたらと数多く、市場にリーズナブルな価格で提供することで変革を成し遂げたいと考えているようだ。

次ページへ続く、「他社にもストラップの交換を考慮した製品はある でも、ノーツールで交換できるものは少ない

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