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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第4回

世界で見た、失敗のフォローのしかた

2015年09月29日 17時00分更新

文● 前田知洋

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 ニュースなどで目にする謝罪会見や釈明会見ですが、謝るスタンスや言葉の選び方を間違えてしまい、沈静化するどころか、ますます炎上するケースも目立ちます。先日、東京オリンピックエンブレムに関する記者会見でも「一般国民は…」というフレーズが使われ、多くの批判が集まりました。

 そこで、今回は僕が「世界で見た、失敗のフォローのしかた」をお送りします。国や文化によって、失敗のフォローは千差万別。その各国の違いを、スペック的な観点で眺めてみました。国ごとにまとめるのは少し乱暴かもしれませんが、フォローのバリエーションとしてご参考いただければ幸いです。

失敗のフォロー その1
「嫌われてもかまわない」、アメリカのスタイル

 日本人から見て、異質に映るアメリカ人の失敗のフォロー、それは「嫌われたとしても、意見を変えない」という真っ直ぐさ。アメリカ人は好んで「フェアではない」という言葉をよく使います。直訳すれば「公平ではない、不道徳ではない」という意味ですが、この公正さや不道徳さって、神の采配っぽい響きがあって、在米中は僕にはピンと来ませんでした。だって、神の采配なんて、誰にも分からないですから…。

 そんな理由から「◯◯ってフェアじゃない」というフレーズを聞くと、『あぁ、◯◯が嫌い』の意味で受け止めるようにしています。つまり、誰が何て言おうと、相手に嫌われたとしても、自分の主張を押し通すイメージでしょうか…。

失敗のフォロー その2
「他の話題に切り替える」、イタリアのスタイル

 ミラノでタクシーに乗ると、運転手は渋滞が起きるたびに窓を開け、声高く文句を言います。手を使った身振りも加わりますので、僕から見ればまるでケンカの一歩手前。しかし、渋滞が動き出すと、5秒後には鼻歌を歌ってご機嫌になる。そうした、気分の切り替えが驚くほど早いのがイタリア人の特徴です。

 だから何か失敗をすると、申し訳なさそうに言い訳をしたり、「自分のせいではない」と不満げに反論をしたと思ったら、数秒後にはケロリとして「夕食のレストランは決めた?」なんて話題が変わっています。その失敗が、よほどシリアスなことでもない限り、こちらも「まっ、いいかぁ…」と脱力することもしばしです。ラテン系とでもいうのでしょうか。

失敗のフォロー その3
「プライドが大事」、ドイツのスタイル

 日本人と気質が似ているといわれるドイツ人ですが、僕の印象ではまず謝りません。しかし、彼らは彼らなりに誠実で、個と組織が別々に意識しているぶん、「それは私の責任ではない」とフォローされないケースもよくあります。日本でよく行われる「同僚や仲間の代わりに謝っておく」ということがほとんどありません。おそらく、後で「なんで勝手に謝ったの?」と同僚から責められるのを避けるためかもしれませんし、責任の所在をはっきりさせるためかもしれません。

 いずれにしても「申し訳ありません」という、相手の気分をフォローするための言葉より、どうしたらお互いの関係を健全に維持できるのかという、プライドを大事にする気がしています。


 

(次ページ、「失敗のフォロー その4 「相手に恥をかかせない」英国編」に続く)

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