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Amazonとは競合しない、DMM.makeはなぜベンチャーの商品販売を始めたか?

2015年08月27日 19時09分更新

文● イトー / Tamotsu Ito(大江戸スタートアップ)

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 DMM.makeは8月27日、ハードウェアスタートアップに幅広く販売の機会を提供する新サービス『DMM.make SELECTION』を開始。これに連動する形で、DMM.make STOREでも『DMM.make SELECTION』カテゴリとしてハードウェアスタートアップの商品の取り扱い・販売を開始した。

 DMM.makeはこれまで、シェアファクトリーとシェアオフィスという形で、ハードウェアスタートアップの「モノづくり」を支援してきた。今回のDMM.make SELECTIONはその次のステップである、販路・販売の支援ということになる。


「ハードウェアスタートアップ商品の取り扱い」とだけ聞くと、先ごろアメリカでAmazonが開始した「Launchpad」と競合するサービスにも思えるが、担当プロデューサーの坂口氏は競合関係になることは否定していた。
 DMM.make SELECTIONの取り組みでは、DMM.makeは自社のECサイト・DMM.make STOREでの販売もしつつ、他ECサイトや販路へ商品を流す代理店機能も果たす。つまり、Amazon Launchpadは取引先になり、「競合関係」ではなく「協業関係」になるというわけだ。 

 さて、DMM.make SELECTIONの当初のラインナップは、DMM.make入居企業を含む6メーカー11商品。最高価格は、DMM.make入居メーカーによる電動バイクの『zecOO』で、959万400円(ウェブ版週刊アスキーでの開発者取材記事はコチラ)

発表会で展示されたzecOOの実機。ハンドメイドで1台ずつつくられる電動バイクだ。

 もし、スタートアップがDMM.make SELECTIONで自社商品を取り扱って欲しいとなった場合、Web応募で審査してもらい、審査にとおれば世界各国のDMM.makeの販路や、大手EC販社などを通じて販売できるようになる。
ユニークなのは、販売に際して、通常の仕入れ型の在庫販売のほか、製造リスク(在庫リスクなど)を回避できる「受注販売」も行っていく。受注販売対応は、生産資金や在庫リスクの問題からクラウドファンディング後の一般販売に移りずらいプロダクトにとって、販売機会を増やすことにつながる。 先ほどのzecOOなどの一部商品は、この受注方式での販売となっている。

三軸吊り下げ(デルタ式)小型3Dプリンター『Moo-del nano』。ヘッドの移動機構がベルトではなくシャフトによるモーター直接駆動のため、駆動部分の耐久性の高さが特徴だとのこと。自作キットとして提供される。
匂いで空間を彩る香り発生デバイス『ZaaZ』。フレグランスが変わっていて、「切り出したばかりの木の匂い」「バスタオルを巻いたお風呂上がりの女の子の匂い」など5種類。本体は9万8000円、フレグランスは7106円。
DMM.makeのワークショップから「これ売れるんじゃない?」と話が進んで商品化。本体でも音が出つつ、MIDIキーボードにもなるタッチキーボード。受注生産を生かして、盤面はオリジナルデザインでつくることができる。
使用時のみ盤面がポップアップする機構をもつ、iPad対応の演奏用キーボード『C.24 KEYBOARD』2万4800円。
あらかじめ設定しておいた「好み」が同じ人どうしが近づくと光るコミュニケーションデバイス『AYATORI』。合コンのイベント企画会社への納入実績が多いとのこと。3127円。

なぜ一般流通させるための支援が必要なのか?そのワケ

 やや専門的な話になるけれど、クラウドファンディングには無事成功したのに、その次のステップである「一般販売」に移れなかったり、価格設定で大いに悩むハードウェアスタートアップの商品は実は多い。

 理由はいくつかあるが、よく耳にするのは一般販売にあたって必要な、流通マージン(流通に支払う儲け)を考慮しない価格設定で発表・発売してしまっているケース。
 クラウドファンディング(ある種のテスト販売=直販)を前提としたギリギリの原価率設計の商品で流通マージンをとろうとすると、利益を削って店頭販売するか(赤字になってしまう場合が多い=できない)、店頭販売用だけ価格を大幅に上げるしかない。どちらもメーカーにとっては選択しにくい。 

 DMM.make SELECTIONでは、こうした価格面も含めた「一般流通で売るための準備」のアドバイスや、一般流通に流すためのさまざまなノウハウも提供していくという。

 発表会で初耳だったのは、DMM.makeはすでに世界数カ国に販売流通のための法人をつくっているということ。下準備は万端ということだ。いま公にできるのは日本、サンフランシスコ、インド、ベルリンの4拠点だそうだけれど、このプラットフォームを使って「日本発、世界へ」の実例がどのくらい出てくるのか、興味深い。

●関連サイト
DMM.make STORE
Amazon Launchpad

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