マジカル唐揚げシャワー
オキュラスVRに在籍しているVR業界の有名人GOROmanさんによれば、唐揚げとVRがくっついたのはいまから2年前。GOROmanさんが『デジタルコンテンツEXPO』に初音ミクと握手できる「Miku Miku Akushu」を出展したときだ。
コンテンツを見てほしいと思ったGOROmanさんは、EXPOの公式レポーターをつとめていた有野いくさんが唐揚げ好きという情報をつかみ、手から無限に唐揚げが出てくる謎のVRコンテンツ『マジカル唐揚げシャワー』をつくった。
マジカル唐揚げシャワーを通じ、有野いくさんとGOROmanさんがつながったことによって「唐揚げといえばVRである」という構図が成立したのであった。なぜそのあとも唐揚げネタを引っ張りつづけているのかは謎のままである。
なお会場には日本唐揚協会の安久鉄兵会長も訪れ、挨拶をしていた。
「みなさんは唐揚げを食べている。みなさんの構成要素の1つは唐揚げだ。みなさんは唐揚げでできている。唐揚げに生かされているといっても過言ではない。世界平和をめざしてともに歩んでいきたい」(日本唐揚協会 安久鉄兵会長)
言っていることはよくわからなかったが、日本は平和でよかったと感じた。
儲からないし金も集まらない
つい唐揚げの話ばかりしてしまったが、VRまつりなのでVRの話もしたい。
『魔法使いと黒猫のウィズ』で知られるスマホゲームのコロプラは、現在VRゲームの開発を進めている。現在は『白猫VRプロジェクト』など移植タイトルが中心だが、ここにきてコンシューマーゲームの知見が必要になってきたという。
「ハイポリ(大量のポリゴンを必要とする精緻なモデル)を扱うので、コンシューマーゲームをやってきたデザイナーが必要です。PlayStation 2のときのようなチャレンジが次の世代としてできるんじゃないかと思います」
ゲーム会社をはじめ、コンテンツ会社は水面下で投資を進めている印象だ。
一方で、VRが収益源になるのはまだまだ先だ、という声は会場のあちこちで聞こえた。先行投資にも限界がある。アメリカでは投資家がジャブジャブ金をつっこんでいる印象があるが、日本ではカネが集まりづらいというのである。
ダンボール製ビューアー・ハコスコの藤井直敬代表は「投資家が体験しないので、なかなか投資が入ってこない」と話していた。
「VRの良さは体験しないとわからないから。クラウドファンディングでも1000万円を超えるのは難しい。個人投資家をパトロンにするのがいちばんかもしれない」
儲かりづらく、金が集まりづらい。開発側にとっては苦しい状況の中、規格競争もネックになっている。
現在VR業界では、Oculus VR、ソニー Project Morpheus、HTC Viveという3大メーカーが別々にハードをつくっている。ゲームコントローラーもOculus VRは『Oculus Touch』、ソニーは『PlayStation Move』、HTC Viveは『SteamVR』とバラバラだ。
開発者は利用者がどのコントローラーを使うか「賭け」で開発しなければならず、開発コストがムダになるリスクがつきまとうのだ。
唐揚げリアリティである
まとめると、現在はまだ「趣味のエンジニアか、かなり体力のある大手」でなければVRゲーム開発に手を出しづらい状況にある。逆に言えば、いまだにVRを体験した人たちだけが市場に挑戦しているという印象だ。
バーチャルリアリティーは『バーチャルボーイ』を生みだした日本も得意分野のはずなのだが、これから日本がVRで世界をリードするには、まずヒト・カネ・情報を広範囲から集める必要がある。でなければ早晩カネが尽きる。
思うに、そこで唐揚げだ。
日本唐揚協会の認定会員であるカラアゲニストは現在6万人を超えているという。カラアゲニストとバーチャルリアリストが共同戦線を張ることによって、市場規模をスケールしていけるのではないだろうか。
我ながらいろいろ強引すぎるが、それくらいでいいのではないだろうか。
みんなアガっていこう。唐揚げリアリティだ。