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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第306回

スーパーコンピューターの系譜 多くの組織で現役のBlueGene/Q

2015年06月01日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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TOP500の1位に輝く性能で
多くの組織でいまだ現役

 IBMは2009年にアメリカ国防総省とSequoiaの契約を結んだが、これはまさに96ラックのBlue Gene/Qベースのシステムであった。設置場所はローレンス・リバモア国立研究所で、当初は2011年中の20PFLOPSの実現を目標にしていたが、実際には若干ずれて2012年になった。

 ただ幸いなことにアプリケーションのほとんどは、Blue Gene/Pと大きくは違わないため、Sequoiaのインストールに先立ち36ラック構成のBlue Gene/PをDawnという名前で2009年に導入、ここで既存のASC PurpleやBlue Gene/Lのコードを移し変えながらSequoiaの導入に備え、2012年からフルに利用している。

Sequoiaのインストールに先立ちDawnを導入。コードを移し変えながらSequoiaの導入に備えた。これはローレンス・リバモア国立研究所のTom Spelce氏が2011年5月にSCICOMP 2011で発表した“Sequoia Update”というプレゼンテーションから抜粋

 2011年の11月には部分的に稼動した4ラックのシステムで677.1TFLOPSを出してTOP500の17位にランキングされたが、翌2012年6月には96ラックすべてを利用、16.325PFLOPSを実現してランキング1位に輝いた。

 トップの座そのものは続く2012年11月に奪われ(奪ったのは、オークリッジ国立研究所のTitanであるが、これはまた別の話として説明したい)、2013年6月には3位に落ちるが、その後ずっとランキング3位を維持し続けているのは賞賛に値する。

 実はBlue Gene/QがトップになったのはTOP500だけではない。Green500についても、例えば2012年6月のリストを見ると10位まですべてがBlue Gene/Qというありさまだ。

 性能が高く、消費電力が低い(=運用コストが低い)のであれば売れないはずがない。下のリストは2013年11月のTOP500の上位100位からBlue Gene/Qを利用しているシステムを抜き出したものだが、IBM自身(87・88位)を抜いても15ヵ所で合計248ラックが利用されている。

2013年11月のTOP500で、上位100位以内にあるBlueGene/Q
順位 組織 システム名 ラック数 実効性能
3位 米エネルギー省
国家核安全保障局
ローレンス・リバモア国立研究所
Sequoia 96 1万7173.2TFLOPS
5位 米エネルギー省科学局
アルゴンヌ国立研究所
Mira 48 8586.6TFLOPS
8位 独ユーリヒ総合研究機構 JUQUEEN 28 5008.9TFLOPS
9位 米エネルギー省
国家核安全保障局
ローレンス・リバモア国立研究所
Vulcan 24 4293.3TFLOPS
15位 伊CINECA Fermi 10 1788.9TFLOPS
23位 英科学技術施設協議会(STFC) デアズベリー研究所 Blue Joule 7 1252.2TFLOPS
27位 英エディンバラ大学 DiRAC 6 1073.3TFLOPS
38位 米レンセラー工科大学 - 5 894.4TFLOPS
45位 仏国立科学研究センター Turing 4 715.6TFLOPS
46位 仏EDF R&D Zumbrota 4 715.6TFLOPS
47位 スイス国立スーパーコンピューティングセンター EPFL Blue Brain IV 4 715.6TFLOPS
48位 豪ビクトリア州生命科学演算イニシアチブ JUQUEEN 4 715.6TFLOPS
57位 高エネルギー研究所 HIMAWARI 3 536.7TFLOPS
58位 高エネルギー研究所 SAKURA 3 536.7TFLOPS
87位 IBM ローチェスター - 2 357.8TFLOPS
88位 IBM ローチェスター - 2 357.8TFLOPS
89位 加SOSCIP
Li Ka Shing Applied Virology Institute
トロント大学
Turing 2 357.8TFLOPS

 もっとも、ある意味純粋な超並列コンピューターはこのBlue Gene/Qが最後かもしれない。というのは、HPCの世界にもヘテロジニアスコンピューティングの波が急激に押し寄せてきているためだ。

 ただ、こちらはこちらでやや遡って説明する必要がある。ということで、次回からまたASCI/ASCの世界から外れることになる。

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