「VAIO売却」から「VAIO Z発表」まで
── 2014年7月の新会社設立からまだ1年経っていませんが、ここまでの1年間は、花里さんにとってどのような期間だったのでしょうか。
花里 会社を設立する、というのはやはり大変でしたね。会社規則など細かな点を設定する必要がありますし、当然オフィスも立ち上げなくてはなりません。と、ここまでが前半で、設立と新商品発売以降は、ユーザーとのコミュニケーションが多くを占めました。一方で、VAIO Zのための様々な仕事がありましたね。何しろやらなきゃいけないことが目白押しで。
昔と違って「○○担当」というわけにいかないんですよ。総動員で動きながら、1人でやらなきゃいけないことが山ほどあった年でした。まあ、これからも変わらないでしょうけどね。
── その中で、うまくいかなかった、もっとできた、と思う点を挙げるとするとどんなことでしょう。
花里 2014年2月の「VAIO売却」という……このインパクトが大きかったんでしょうね。その瞬間にVAIOが終わってしまったと感じた方が多くいらっしゃいました。VAIOが存続していることをVAIO Zの発表で知った、という方も相当いるようです。
本当は、VAIOを再構築したというメッセージを、会社設立時にしっかりと届けたかった。商品がなくて届けられなかったんです。今回のVAIO Zの商品力と話題性と、それからVAIOというブランドが相まって、ようやく広くメッセージを届けられるようになったと感じます。それでも、まだまだです。今は、メッセージを届けるために、製品に触れられるところを広げている過程にあります。ですから、物事を進めるスピードを今より速くする必要があるのです。
PCは、ますます型にはまっていく
VAIOはそこに異を唱える
── 2015年のVAIOは様々な動きを見せてくれそうだと思いました。PC業界全体にはこれからどんな動きがあると予想されますか。
花里 デバイスの種類が増えてきていることからもわかるように、「コンピューティング」の世界は多岐にわたっています。その中でPCは、ますます型にはまっていく流れにあると思います。我々はそこに異を唱えよう、PCにしかできないことを再考しようとしています。
「PCにしかできないことが無ければ、PCを使う意味がない」のならば、「そんな高性能は必要ない」と言われたとしても、PCの存在価値を突き詰めて考える必要があります。我々メーカーがその価値に気づければ、いま一度PCの価値が見直されるようになる……こういう動きなんじゃないかな、と。
世界は広まっていますが、それぞれの領域には必ず柱が存在します。その存在を中心に、いずれ戻ってくる世界があると思っています。VAIO Zのプロモーション映像で示しているのはまさに、その世界にVAIOが挑むということなんです。
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