1GHz以上で動作するPOWER4と
マルチスレッド拡張したPOWER5
POWER3までの開発経緯は連載290回で取り上げたので、POWER4から話を始めたい。
POWER4プロセッサーは1999年10月のMicroProcessor Forumで初めて発表される。もっともこの時は内部構造そのものはまだ発表されず、単に1GHz以上が可能と紹介されただけだ。
むしろ特徴は、2つのCPUコアと共有2次キャッシュ、および3次キャッシュ検索用のディレクトリ、それとプロセッサー間コネクトを1チップ化したことである。
さらに、このチップを4つ、まとめてMCM(Multi-Chip Module)化した8Pプロセッサーも構成できることが示された。ちなみにダイエリアは右下の写真のように、コアの半分を2次キャッシュが占める形だ。
内部構造は2001年に発表されたのだが、整数演算と浮動小数点演算をそれぞれ同時に2命令づつ実行可能なスーパースカラーという構造そのもの、それとOut of Orderの実装そのものはPOWER3を引き継いでいる。
ただしパイプライン長は整数演算で12~14段、FPUでは17段と猛烈に長くなっている。これにより、0.22μmプロセスでも450MHzどまりだったPOWER3-IIに対し、POWER4は0.18μmプロセスで1.1GHz駆動、0.13μmに微細化したPOWER4+では1.9GHz駆動が可能になっている。
このPOWER4をマルチスレッド拡張したのがPOWER5である。またメモリーコントローラーも内蔵されるようになった。2次キャッシュ容量も1.875MBまで増量され、3次キャッシュは36MBに拡張された。
CPUダイ4つと3次キャッシュ×4をワンモジュール化したMCM(Multi-Chip Module)は一辺95mmという巨大なものであった。動作周波数は、当初発表された0.13μm SOIプロセスを使ったものが最大1.9GHz、プロセスを90nm SOIに微細化したPOWER5+は当初発表のものは1.9GHzどまりだったが、後追いの形で2006年には2.3GHzまで引き上げられている。
→次のページヘ続く (POWER5を8つ搭載したIBM System P5 575)
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