VAIOは、格安スマホの常識に一石を投じる
さらには、日本通信とのスマートフォンに関する協業についても、他社との積極的な協業のひとつとして言及した。
関取社長は、「後日、日本通信から正式発表がある」としながら、「VAIOの自由だ、変えようという決意は、パーソナルコンピュータに限ったものではない。SIMロック解除という動きがあるなかで、VAIOは、この市場にも一石を投じる」と意気込む。
そして、こうも語る。
「スマホ事業は厳しいのは百も承知。そこに、ハードウェアだけで勝負しようとは思っていない。単なる格安スマホというハードウェアだけの観点だけでなく、通信とのパッケージ、あるいは店舗との連携によって、取り組んでいく」とする。
パートナーである日本通信は、1月30日の2014年度第3四半期決算発表において、VAIOスマホのパッケージだけを公開した。
その場において、日本通信の福田尚久副社長は、「VAIOというブランド力を持った製品を提供することは、あの製品が欲しいという選択肢を、MVNOとして提供できることにつながる」と語る一方で、「VAIOスマホを単に提供するだけでなく、12月に発売して好評を得ている、3Gbpsまでの通信環境を定額で使える『高速定額使い放題』、現在使っている固定電話の番号を携帯電話でもそのまま使える『03スマホ』といったサービスと、VAIOスマホとを組み合わせることで、価値をさらに高めることになる」と語る。そして、ダイワボウ情報システムをはじめとするパートナー各社を通じた販売体制の構築も、VAIOスマホの販売拡大に弾みをつけることになるとする。
VAIOスマホの事業は、PC事業とは異なり、製品単体の競争力だけで戦うつもりはないようだ。VAIOが提案する製品力に、日本通信の通信サービスを加えることで、この市場に一石を投じる姿勢だ。
格安スマホ市場において、これまでの格安スマホの常識が通用しないモノづくりが、VAIOスマホで見られそうである。ここにも、自由で、固定概念をぬぐい去るVAIOの風土が生きることになりそうだ。
この連載の記事
- 第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 - 第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 - 第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ - 第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? - 第583回
ビジネス
エコ投資に取り組むエプソン、見方によっては10年で1兆円の投資も - 第582回
ビジネス
パナソニックコネクトの現在地点、柱に据えるBlue Yonder、ロボットとは? - 第581回
ビジネス
スタートして半年の日本NCRコマース、軸はAIとプラットフォームの2つ - 第580回
ビジネス
コンカーの第2章は始まるのか、SAPの生成AIを使って効率的な経費精算を - 第579回
ビジネス
AIの筋トレはいまから始めるべし、マイクロソフト津坂社長がCopilotの議論から得たもの - 第578回
ビジネス
大赤字からの再起はかるバルミューダ、その足掛かりは?
この記事の編集者は以下の記事もオススメしています
過去記事アーカイブ
- 2024年
- 02月