納入されたASCI Whiteは
Blue Pacificより3.4倍高速
ローレンス・リバモア国立研究所ではASCI Blue Pacificが2005年まで稼動しており、これと並行してASCI Whiteが納入されることになった。設置場所はLCC B453というビル(関連リンク)で、Terascale Simulation Facilityという名称でも知られている。
地図で見ると、Lake Haussmannに接する、長方形の手前に楕円の一部を切り取って貼り付けたような建物がそれだ。これはASCI Whiteの納入にあわせる形で作られたが、単にASCI Whiteのみならず複数世代のシステムの運用を念頭においており、現在はSequoiaがここで稼動している。
システムそのものは1999年末からインストールが始まっており、2001年8月15日に引渡しが完了している。ちなみにフルサイズのものは512ノードのWhiteであるが、これ以外に28ノードのIceと68ノードのFrostというシステムも同時に納入されており、こちらではアプリケーションの開発やテストなどが行なわれていた。
この納入に先立ち、2000年11月にはノード数こそ512ながらチューニングが済んでいない状態で4.938TFLOPSを叩き出し、TOP500で1位になる。その後チューニングが進んで2001年6月には7.226TFLOPS、2003年6月には7.304TFLOPSをマークし、2001年11月までは1位の座を維持した。
理論性能は12.228TFLOPSなので、効率という意味では59.7%ほどで、Blue Pacificよりやや良い程度であるが、絶対性能で比較するとBlue Pacificの3.4倍に高速化されており、またBlue Pacificで動いていたアプリケーションが大きな手直しなくそのまま動作したため、これはそう悪いことではなかった。
以前連載286回で紹介した“ASCIとASCプロジェクトの進捗”のいくつかは、ASCI White上で実現しており、その意味では一応所定の目的を達したとは言える。
ただ、ASCI Blue/Whiteや、次回取り上げるASCI Qなど一連のSMP/クラスターマシンの効率の悪さは、それそのものが論文のネタになるという状況であったのは事実である。ということで次回はそのASCI Qを解説する。
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