技術の高さはもちろんのこと…
ちまたでよく目にする「プロ」の肩書き。筆者はプロのマジシャンであるせいか、若い人から「プロになるにはどうしたらいいのでしょうか?」という質問や「プロになりたいのですが…」というメールをよくいただきます。
プロには、「技術の高さ」はもちろんのこと、いろいろなことが要求されます。しかし、どんなジャンルでもプロに限らず、うまい人はたくさんいます。カラオケのマイクを持たせたらプロ並みに歌う人、イラストが上手な人、料理が得意…。でも、そうした人たちがそれでお金を稼げるかというと、なかなか難しいのが現状…。それでは、アマチュアとプロの違いとは、いったい何なのでしょうか。
プロとは、自分のスキルをお金に換える術(すべ)を持っている人のこと
「プロとは、自分のスキルをお金に換える術(すべ)を持っている人のこと」。これは、知人のエッセイストが教えてくれたフレーズです。つまり、文筆業なら、自分の書いたテキストを買ってもらえる。または執筆の依頼が定期的にある。そんな状態をプロと呼ぶわけです。筆者の場合なら、マジックを披露する場所と出演料を提供してくれるクライアントがいるからこそ。
それでは、どうしてそんな術を持っているかというと…
ざっくりと言うなら、「信頼関係」なんて言葉になりますが、それではあまりにざっくりとしすぎ(笑)。なので、もう少し具体的に説明してみます。野球にたとえるなら「打席に入ったら、ちゃんと打つ」ということ。ファールでもなく、アウトでもなく…、ホームランとはいわないまでも、ヒットを打つ、これに尽きます。「たまに打つ」じゃなく、「いつも打つ」こと。
さらに、人気や知名度があって、それでファンを集客できる、そうなればスター選手です。雑誌のグラビアやインタビュー、トーク番組にも声がかかったりします。
「プロ」のことに話を戻しますと、クライアントがこちらを選ぶのと同様に、こちらもクライアントを選ぶことができることも大切。こちらも責任を果たし、向こうも責任を果たす。依頼者の基準を満たさないのもダメですし、ちゃんと仕事をこなしたのにお金がもらえないなんていうのもダメなのです。つまり、自分の労働をお金に換える術とは、クライアントと自分の「責任の交換」のシステムが上手く機能している状態のこと。
クライアントとの関係を損なう5つの危険
ところが、何事も仕事になると、多忙や雑務に追われるあまり、ついおかしてしまいそうなミス、落とし穴が存在しています。そんな落とし穴に落ちないための、5つの危険は以下の通り。ある意味、プロとそうでない人の差でもあるかもしれません。
1.パクリ
何も生み出せないのにプロになることはできません。それは、創造的な仕事に限らず、ノウハウや考え方なども含みます。よく「パクっちゃいけないなんて知らなかった」と言い訳をする人もいますが、学校でテストのときに「隣の人の答えを写しちゃいけません」って習ったはずなんですが…。
さらに、捏造ともなれば、クライアントとの関係をこわすだけでなく、社会からも激しいバッシングにあうのは、皆様ご存知の通りです。
2.言い方を変えると話が通ると信じている
たまに「相手にNOと言わせないテクニック」みたいなことを聞きますが、筆者はまったく信じていません。「朝三暮四」という故事がありますが、内容は同じなのに、言い方に「猿」が騙される話。クライアントや取引先を猿扱いしてはいけません。
朝三暮四 故事
中国
(三省堂『新明解四字熟語辞典』より)
(次ページ、「3.マジギレしない…、でもプチ切れはオーケー(笑)」に続く)
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