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この丸みを帯びたデザイン、素晴らしいです |
突然だが、筆者はモバイルノートPCを愛する新人編集者である。理想は11.6型の、持ち運びやすい薄型軽量なノートPC。スペックが多少低くともバッテリー駆動時間が長いほうがよく、そしてなにより本体デザインが最重要だ。デザインが好みだと愛着が湧き、長く使ってあげたくなる。ちなみに好きな色は「鮮やかなブルー」。「11.6型、薄型軽量、長時間駆動で、オシャレな青いノートPCを安く買いたい!」この条件をすべて満たす製品にいつか出会いたい……と、長年思っていた。
そして昨年12月、ついに出会ってしまったのだった。その名も日本ヒューレット・パッカード「Stream 11-d000」。米国で“200ドルPC”として話題になっていたもので、カラーは表も裏も鮮やかなホライズンブルー。まさに「11.6型、薄型軽量、長時間駆動で、オシャレな青いノートPC」の条件を満たすノートPCなのだ。そして価格は2万7864円! 新人のお給料でも問題なく買える。フォトレビュー記事を読むと思いはさらに募り、編集部に届いた「Stream 11-d000」を使い始めることになった次第である。
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まさに水平線のように鮮やかな「ホライズンブルー」、PCらしくない色使いにオシャレさを感じます |
さて、ここからが本題。「Stream 11-d000」はクラウドサービスの使用を前提としており、ストレージ容量が32GB(eMMC)となっている。OneDriveの100GBプランを2年間無料で利用できる特典付きだが、写真・音楽好きの筆者にとってこの容量では物足りない。BTO非対応のため、ストレージのカスタマイズもできない。
とても気に入ったデザインなだけに、これは惜しい……せめて256GB程度は欲しい……。外付けHDDを導入すべきなのか、何か良い方法はないかと模索していると、ベテラン編集者Kさんがステキなプレゼントをくれた。
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これはもしや…… |
そう、これはmSATAの256GB SSD。自作PC歴20年を超えるKさん曰く、
「分解して、中にコレを差し込みなさい」
というのだ。これなら確かに外付けHDDよりも軽く、「Stream 11-d000」の持ち運びやすさを損なわずに済む。筆者はプラスドライバーを手にし、(人生初となる)ノートPCの分解を開始した。はたして「Stream 11-d000」は、本当にSSDを搭載できるのだろうか?
注意:分解や換装はユーザー自身の責任のもとに作業することを前提としており、個々の環境に関して編集部やメーカーでは問い合わせに応じられません。換装行為は改造とみなされメーカー保証は受けられなくなり、作業に伴ういかなる損害も、ASCII.jp編集部/メーカーで保証できないことをご了承ください。
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底面も鮮やかなブルー。ゴム足も本体同様に青い |
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手際良くネジを外し、いざ分解! と思いきや、内部が見える気配が一向にない。なんと、ゴム足の下にネジが隠れていたのだ |
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内部のフチにある無数のツメ。これらのおかげで簡単には分解できないようになっている。右側面のツメが非常に固く、キーボード面を外すのに苦労した |
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激闘の末、ついにキーボード面を完全に外すことに成功! これで内部をイジり放題だ。とはいえ、分解はあくまで慎重に |
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外側のデザインも素晴らしいが、整然と部品が並んだ内側にも男心をくすぐられる |
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あちこち写真を撮りまくる |
内部の撮影はさておき、目的のmSATAスロットを探そう。しかしどこをどうイジっていいのか分からず、再びベテラン編集者Kさんに助けを求めてみる。Kさんはとある箇所を指差し「コレを外して、スロットを空けるんだよ」という。言われるがままに“コレ”を外す作業に取り掛かった。
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繋がっていたケーブルを取ったあと、ネジを外す |
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ネジを外すと“コレ”が浮上。予想よりも簡単に、スッと取り外しできた |
めでたくmSATAスロットが空いたわけだが、知識豊富な読者はもうお気づきだろう。先ほど取り外した“コレ”は「Stream 11-d000」で無線LANを利用するためのもの。これがなければ、クラウドサービスの利用を前提としたノートPCで無線LANが利用できないのだ。
早くも暗雲が立ち込めているように思えるが、USBの無線LANアダプターを使えばこの問題を解決できるはず。というわけで、ついにこの時が来た! SSDを差し込んでみる。
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このスペースに、SSDを差し込む! |
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すると、どうしてもSSDが浮いてしまう問題が発生 |
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原因は…… |
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この青い突起 |
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元々入っていた無線LANカードと、新たに差し込んだSSDのサイズを比較。明らかにSSDのほうが大きい |
SSDが大きいせいで、どうしても青い出っ張りが邪魔になる。しかもこの部分は取り外しできるものではない。
SSDが浮かび上がっているため、この状態でネジ留めするのは残念ながら諦める。しかしSSDがしっかり差し込めているのは事実。これでストレージは256GBに増えたはず! 期待を胸に、分解した状態で起動ボタンを押した。SSDは認識してくれただろうか。
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おそるおそる起動。こちらの心配などどこ吹く風、問題なく起動した |
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しかしDドライブが……表示されない…… |
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すかさずKさんが登場しBIOSを起動。このようにバッチリ押し込んだ状態でも、SSDは認識されなかった |
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しかし、BIOSで設定できる項目がやたらと少ない。Stream 11は外も中身も、良い意味で「融通の利かない完成品」なのだった |
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SSDで大容量化・高速化の夢は叶わず…… |
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仕方ないので、SDカードで容量を増やすことにする。奥まで差し込めるためSDが邪魔になったり、目立つことはなさそう。というか、最初からこうすべきだったかもしれない |
そんなわけで、ストレージを256GBも増やせるのでは…? という企みはあえなく失敗。少しだけ残念に思ったが、「この融通の利かなさも、Stream 11が2万円台の価格を実現するために重要なポイントなのだろう」と理解できた。これも、今まで見たことがなかった内部を見れたおかげ……ではあるのだが、もし分解する際は自己責任で、細心の注意を払って作業しよう。