19日、ユーザベースは同社が運営する経済ニュースプラットホーム「NewsPicks」について会見を開いた。梅田優祐CEOは「世界一の経済メディアを作る」、東洋経済出身のNewsPicks佐々木紀彦編集長は「大暴れできる」と意気込みを見せた。月額1500円の有料課金、IBMやサイボウズらの提供型広告を収益源に、独自記事を増やす。
ユーザベース梅田優祐CEO 写真:編集部
「世界一の経済メディアを立ち上げようと思っている」
ユーザベース梅田優祐CEOは会見の冒頭でそう述べた。
投資銀行に勤めて連日連夜レポートを書き続ける「ひどい生活」(梅田CEO)に見切りをつけ、企業情報プラットホーム「SPEEDA」を立ち上げたのは5年前。ロイターやブルームバーグなど大手メディアが牛耳ってきた事業領域にクラウドで風穴を開けた。現在500社が使用する同社の主力商品に育っている。
1年前に開始した経済ニュースプラットホームNewsPicksは、アプリのダウンロード数にして「たった21万」(梅田CEO)。だが、利用者層に20~40代で意思決定に関わる層が29%と多いこと、平均11分と利用時間が比較的長いといった特徴を挙げ、「しっかり世界観を作り、自分たちのペースで成長させていきたい」と話す。
現在、NewsPicksは約60社のメディアから記事提供を受けて、編成やコメントを管理するのがメインだが、今後は社内に編集部を作って記事を制作していく側にもあたるというのが今回の会見だった。
NewsPicks佐々木紀彦編集長は「特にコンテンツと広告」に力を入れたいという。
各業界のイノベーションをテーマとした連載や、GoogleやAmazonのビジネスを解説するようなインフォグラフィクス、NewsPicksに所属するピッカーと呼ばれる堀江貴文氏、佐山展生氏ら著名人による討論コラムといった記事を自社で作ることで、NewsPicksのブランド作りをはかる。
月額1500円の有料課金モデルに加えて、今後はIBMやサイボウズなどからスポンサー提供型の広告を受ける「ブランド広告」も収益源にあてる。いわく「いいコンテンツを作るにはお金がかかる」(梅田CEO)。
既存メディアとのコラボレーション企画にも意欲的だ。
講談社の「クーリエ・ジャポン」、毎日新聞とも協力関係にあるが、NewsPicks内での拡散データやコメント、読者の滞在時間といった情報をメディアに提供することでパートナー関係を作っていきたいという。
「われわれをモルモットのような形で使ってもらい、新たなチャレンジができれば」(梅田CEO)
NewsPicks佐々木編集長は「歴史を見たとき、新たな技術が生まれたとき、必ず新たなメディアが生まれている」と述べ、デジタル・モバイル・ソーシャルという3つの技術革新が重なった現在こそ、市場を変えるチャンスがあると意気込みを見せる。ロイター(現トムソン・ロイター)が英仏間で金融・相場情報のやりとりをはじめたのは1851年。モールス信号による符合通信様式が成立した1844年から6年後のことだった。
「目指していきたいのは3年で日本を代表する経済メディアにすること。3年で編集部を100名体制にする。世界一の経済メディアをつくる。意思決定を支える情報インフラを世界中に広めたい」(梅田CEO)