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最新ユーザー事例探求 ― 第39回

業務に合わせて改造し続けたシステムの未来像とは?

70万点のねじの在庫管理から需要予測に進むサンコーの挑戦

2014年09月29日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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ねじの卸しを手がける大阪のサンコーインダストリーは70万点という膨大なアイテム数を扱うべく、1980年代からコンピューターによる在庫管理を実現している。そんな同社が挑んでいるのが需要予測。同社のコンピューター導入の歴史と開発中の需要予測システムについて聞いた。

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IT+物流で先端を走り続けるサンコー

 大阪を本社とするサンコーインダストリー(以下、サンコー)は、年商210億円、従業員数350名のねじの卸売り商社になる。1970年代、売上高が大きく落ち込んだ際に、当時の社長の英断でだぶついた商品の半分をメッキ商品にして在庫。即納できる体制を整えることで、ピンチをチャンスに変えてきたという“武勇伝”を持つ。

 現在は、月ベースで約900社の仕入れ先からねじを仕入れ、約4000にのぼる再販業者に商品を卸すという在庫ビジネスを展開する。ダンボール、小箱、さらには1本単位で25万アイテムを在庫している。

全商品をコンピューターに登録。仕入れから受注、出荷、配送までをリアルタイムに管理する東大阪物流センター(提供:サンコーインダストリー)

 こうした同社のDNAとも呼べるのが、徹底したテクノロジーの活用だ。1970年代に他社に先駆けてロボット倉庫を建設したほか、1981年にはNECのオフコンで在庫の全商品のコンピューター管理を開始。1982年に建設した東大阪物流センターでは、バーコードによる無人管理や検品システムを導入し、まさに最先端のロジスティックスが実現されてきた。

 サンコーインダストリー代表取締役社長でありながら、プログラマー、IT担当でもある奥山淑英氏は、「当時の自動倉庫は受注入力して、1日データ溜めて、テープで動かすのが主流やったんです。でも、先代社長が受注入力・即出庫でないとイヤやと言い続けたら、NECさんが物流のプロを連れてきて、彼らがシステム構築してくれたんです」と振り返る。最新のロジスティックスとITを融合した取り組みは、当時の先進事例として大新聞でも取り上げられたという。

サンコーインダストリー代表取締役社長 奥山淑英氏

 その後も、同社は「仕事に合わせてコンピューターを改造し続ける」というポリシーの元、従業員からの要望書をベースにフルスクラッチで自社システムを構築し続けている。

未曾有の取り扱い数70万アイテムはなぜ必要か?

 そして1990年代から進めてきたのが、取り扱いアイテムの拡大だ。現在、サンコーの扱っているアイテム数はなんと70万アイテム。競合の取り扱い数が10万程度と考えると、圧倒的に多くのアイテム数を扱っていることがわかる。「10年前は30万アイテムでしたが、今は70万。形状で4000くらい。太さ、長さ、材質、表面処理のバリエーションでそれくらいになるんです」(奥山氏)とのことで、将来的には100万アイテムまで目指すという。

 もともと業界的には、橋で使われるような巨大なねじを含む建築土木系と、iPhoneなどにも使われる微細なねじまで含む弱電系で、棲み分けが行なわれており、卸事業者がそれほど多くのアイテム数を扱う必然性がなかった。これに対して、サンコーは可能な限り多くのアイテムを扱うというポリシーを持っている。アイテム数が命のECサイト系の事業者を別にすれば、こうしたポリシーはねじ業界でも先進的といえる。

一口にねじといっても、太さ、長さ、材質、表面処理の違いで無数のバリエーションが存在する(提供:サンコーインダストリー)

 なぜアイテム数を増やす必要があるのか? 奥山氏は、「ねじ業界は倒産が少ない代わりに、新規参入も少ないため、営業に回る会社が頭打ちになっていたんです。新規の営業先を拡大しようとすると、メインにはねじを扱っていない会社、たとえば工具の保守部品でねじを扱うような会社がターゲットになるんです」と語る。こうした新しい営業先のニーズに応じようとすると、自ずと仕入れるアイテムを増やす必要が出てきたわけだ。

 もちろん、単にアイテムを増やすだけでは意味がない。オペレーターの人数を増やさず、アイテム数を増やす必要がある。こうした課題意識を持って、物流系のシステムをオープン化したサンコーは、さらに受発注システムのオープン化にチャレンジしたという。

(次ページ、仕入れ作業をシンプル化するSHIPSと発注点を算出するAPIM)


 

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