「これでもか!これでもか!」の全品検査とエージング
あとは装置組み立てと出荷前検査を行い、顧客に出荷する流れとなるが、日立では顧客納入後のことも考えた検査を行っているという。
たとえば装置組み立てのステップでは、顧客から受注した構成に従って装置を組み立てる前に、いったん“フル装備”構成にしてテストを実施している。これは、納入後に装置が追加されることも考えたうえでの取り組みだ。
また、納入後の初期不良発生を防ぐ取り組みもある。一般に、機械や装置の故障率は初期と後期に高い「バスタブ曲線」を描く。日立では、機器出荷前に数日間をかけて耐久性試験(エージング)を行うことで初期不良の発生を調べ、納入直後から安定稼働する製品だけを選別する仕組みを取っている。
「プリント基板の製造工程も含め、全製造工程の約9割の時間を試験に割いている。ありとあらゆる使用シーンを想定して、『これでもか、これでもか』という妥協なき全品検査を実施している」(青野氏)
モノづくり精神の継承に向けた「人づくり」
こうした高品質への取り組みは、日立自らが長年をかけて継続的に改善を繰り返してきたものだ。青野氏は、その根幹には同社の“モノづくり精神”があり、その精神を未来に伝承していくためには“人づくり”も必要不可欠だと強調した。
そのため、個々の技術者、作業者が取り組む技能向上とは別に、組織全体が一丸となって製造改革に取り組むことで「モノづくり精神の醸成」に務めていると、青野氏は紹介した。
「製品開発、製造、検査が一体となって、世界最高水準の信頼性と品質を維持、改善している。今後も、日立ならではの『人づくり』『モノづくり』を発展させながら、顧客により良い製品を提供していく」(青野氏)