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マイクロソフト・トゥディ 第100回

へんなプログラム大募集、ぶっ飛んだものを見せてくれ—サイボウズ 青野社長・日本MS 樋口社長対談前編

2014年06月26日 11時00分更新

文● 大河原克行

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「独自性」という別の評価軸—へんなプログラムを募集したい

青野 完成品は欧米の企業が押さえていて、中身を見るとほとんどが日本製。本当は、日本人が作ったといえるかもしれない状況ということも多いですね。

 僕が今回のU-22プログラミング・コンテストで期待しているのは、プロクラミング能力の高さもあるのですが、それ以外に、「独自性」という別の評価軸を持たそうと思っているんです。たとえば、インターフェースが優れていて、見た目だけで使いたくなるというものは、ぜひ評価したい。独自性というのは、日本人が弱いとされる部分ですから、それを鍛えるという意味でも多くの学生に挑戦してほしいです。

樋口 私の近くを見渡しても、米国の環境に入って、「独自性」という点で花開いた人がいます。自由な環境で、自由に発想できる環境だからこそ、能力を発揮したというケースですね。「ゆとり世代」あるいは「ゆとり教育」の中では、やる気のない人はこれ幸いとゆっくりするものですが、やる気のある人の場合は、天才的に能力を発揮する例も出ているわけです。

青野 ゆとり世代をポジティブに評価する人はあまりいませんが(笑)、でもそうしたことが起こっているわけですね。自由度があることで、オリジナリティが生まれる。

 U-22プログラミング・コンテストでは、へんなプログラムを募集したいと思っているんです。これまでのプログラミング・コンテストでは、PCがあって、PCの中で動くものに限定していましたが、ソフトウェアは自動車の中でも動いているし、スマートフォンの中でも動き、クラウドでも作ることができる。そうしたものを作って挑戦してほしいと思っているんです。へんなプログラム大募集です(笑)。

樋口 ただ、ぶっ飛んだプログラムばかりだと、審査する我々が集約するのが大変かもしれませんよ(笑)。

青野 それもいいじゃないですか(笑)。製品化は難しいかもしれないですが、ぶっ飛んだものを見せてくれたらうれしいですね。

アイデアマンが出てくる環境作り、人材育成、ダイバーシティ

樋口 サイボウズでは、アイデアマンが出てくる環境作りや、人材育成などで心がけている部分はあるのですか?

青野 サイボウズ社内では、そうした環境を作りたいと思っているんです。開発フェーズが終わったあとに、少しゆとりの時間を作って、日々の改善や、こんなものを作ってみたかったというものに当ててもらっていいというようにしているんです。

 また社内では、合宿形式でハッカソンをやることもありますね。結構、みんな好きで参加しますよ。ここではいろんなものが出てきます。例えば、関西出身の開発者が、「ユーザーインターフェースが標準語なのが我慢ならない」といって、何を書き込んでも関西弁に変えるものを作った。「一体何に使えるのか?」という話もあるのですが(笑)、これも技術という観点でみたら、言語処理なんです。言語処理のノウハウがないとできない。

ダイバーシティの考え方を持ち込まないと、「同質の人がやることは良くて、それ以外の人たちがやることは悪いもの」になってしまい、それですべてが終わってしまう

樋口 私は、社内に「ダイバーシティ」を持ちこむことが大切だと思っています(ダイバーシティーとは、多様性を意味する言葉。人種・性別・国籍・年齢などの違いや多様性を競争力の発生源と位置付けて、マネジメント・ビジネス戦略を構築するアプローチ)。

 ダイバーシティの考え方を持ち込まないと、「同質の人がやることは良くて、それ以外の人たちがやることは悪いもの」になってしまい、それですべてが終わってしまうことになりがちです。様々な人の入り交じりや、様々な価値観の中で、多様な意見やアイデアが生まれてくることが大切。自分の体を環境が異なるところに置くことが刺激を受ける源泉になりますよね。

 ダイバーシティにはいろいろな組み合わせがありますが、場所のダイバーシティや、人種のダイバーシティも必要ですね。シリコンバレーには、やりたいこと支える人材がいたり、そうしたアイデアを持つ人がたくさんいたりしますから、ダイバーシティという観点からも、適した風土なのかもしれません。

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