「iPhoneはムダに高いよ。性能的にはこれで十分」──昼食で隣に座ったブラジル人のメディア関係者は、そう言いながらポケットからスマホを取り出した。サムスン製の「GALAXY S4」だ。「むしろ、なんで君はわざわざiPhoneを選んだの?」。
ポーランド経済省が主催するITスタディーツアーに、世界各国から11人のジャーナリストが参加している。ドイツ人にスウェーデン人、ブラジル人など国際色豊かな顔ぶれだ。しかし興味深いことに、所有するスマホはアップルのiPhoneかサムスンのGALAXYかできっかり2分されていた。
日本人2名を除く9名の端末の内訳は、iPhoneが3に対しサムスンが6。サムスン製端末はGALAXY S5を選ぶ人がいる一方で、いわゆる廉価版のモデルを使っているジャーナリストもいた。
GALAXYを選ぶ一番の理由は、やはり価格だ。ポーランド在住の米国人ライターは「ポーランドではiPhoneが高すぎる」と指摘。ポーランドでiPhone 5sを購入すると、日本円で10万円を超える。「アメリカでは199ドル(約2万円)で手に入る。iPhoneは嫌いじゃないけど、サムスンの安いやつにしたんだ」(米国人ライター)。英国出身のメディア関係者も「iPhoneは端末も高いけど、アクセサリーもバカみたいに高いよな」と相づちを打った。
ポジティブにGALAXYを選んだドイツ人ジャーナリストは、「画面も大きいし、iPhoneより薄い。僕が求めている端末にぴったりのものが、サムスン製だったんだ。デザインもいいしね」と明かす。「だけど、もっとお気に入りなのはノキアのフィーチャーフォン。これなら1日に何度も充電しなくてすむからね」(ドイツ人ジャーナリスト)
ポーランドの街を見渡すと、至る所にサムスンの看板を見つけられる。町中の中古ケータイショップでも、サムスンの端末が所狭しと並ぶ。博物館の案内端末までサムスン製タブレットだ。「ブラジルでも、一番人気はサムスン。二番目がアップルで、ノキアが次。えっ、ソニー!? あぁ……まぁ、有名かな?」(ブラジル人メディア関係者)。
カンター・ジャパンの調査によると、2013年11月~2014年1月の国内iPhoneのシェアは約69%で前回調査より約3ポイント増加。しかし、日本以外の国ではシェアが軒並み4割を割っている。
誰もがiPhoneを持っている日本に住んでいると実感しづらいが、一歩国外に出てみると人気なのはサムスンだ。悲しいことに、日本メーカーは蚊帳の外。アップル/サムスン/それ以外──という扱いから脱却しなければ、スマホ事業に未来はない。