ピンぼけしやすさをカバーするには?
フルサイズ一眼「α7R(ILCE-7R)」を使いこなす!マニュアルフォーカス用アシスト
2014年05月12日 17時00分更新
背景をぼかしやすい=被写界深度が浅い
「α7R」最大の利点はフルサイズセンサーだ。センサーサイズが大きいと背景をぼかしやすく被写体だけを強調した写真を撮りやすい。センサーサイズが大きければ大きいほど背景をぼかしやすいので、数多くのミラーレス機の中でも「α7R」は特にぼかしやすい。だが、背景をぼかしやすいということは被写界深度がとても浅いということだ。
被写界深度とは「ピントが合っているように見える範囲」のこと。あくまでも「合っている範囲」ではない。厳密にいうと、ピントの合う箇所は基本的にレンズと並行な面だけで、焦点調整(ピント合わせ)によってピントの合っている面の距離が変わる。広角レンズだと焦点の合っている面の前後のぼけ方が緩く、ピントの合う範囲が広く感じる。望遠レンズだとぼけ方が急なので、ピントの合う範囲は狭く感じる。
撮影距離と絞り値も影響する。ピントの合った範囲の前後は、被写体が遠いほどぼけ方が緩い。また、絞りを絞ると緩やかにぼける。なので、広角レンズで絞りを絞って遠景を撮影するとピントの合っているように見える範囲が広くなり、被写界深度の深い写真になる。反対に、望遠レンズで絞りを開けて近い場所を撮影すれば、被写界深度の浅い写真になる。これらの組み合わせで、狙い通りの画角やピントの合い具合に調整するのが写真を撮る際の楽しみでもある。
広角レンズで被写体に近づき絞りをあければ、背景をぼかした写真を撮れる。例えばフルサイズ素子採用機とマイクロフォーサーズ規格のデジカメとで同じ写真を撮ろうとした場合を見てみよう。フルサイズ素子機で50mmの範囲と、マイクロフォーサーズ機で約25mmのレンズとでほぼ同じ範囲が写る。マイクロフォーサーズはフルサイズ素子に比べて、撮像素子の大きさが約1/4の面積しか無いからだ。
この2台を同じ絞り値にして撮影した場合、写る範囲は同じでも25mmのほうが広角レンズなので、被写界深度の深い写真になる。センサーサイズは機種によって異なり、レンズが結像した画像のどれくらいの部分を使うかはそれぞれ違うが、レンズの焦点距離と絞り値はどんな撮像素子のサイズのカメラであろうが、25mmは25mmで50mmは50mmだ。
当然50mmよりも画角の広い25mmのほうが被写界深度が深いので、同じ場所から撮った2枚では50mmを使ったフルサイズ機で撮影したほうが被写界深度の浅い写真が撮れる。しかし、この被写界深度の浅さが逆にネックになることもある。つまり、気を抜くとピンぼけ写真になってしまうということだ。
「α7R」のAF性能はかなり高く、合わせたい箇所を指定してピント合わせをする分には十分な性能を持っている。人物が被写体なら顔認識の上位互換ともいうべき瞳にピントを合わせる「瞳AF」や、AFを合わせるポイントを指定する「フレキシブルスポットAF」では、3段階の大きさにスポット枠を変えることで被写体の大きさに合わせた緻密なピント合わせができる。
確実にピントを合わせるなら、マニュアルフォーカスを
しかし、確実にピントを合わせるならマニュアルで合わせるのはどうだろうか? いまどきのカメラはAFが基本だが、かつてはマニュアルでピントを合わせるものだったし、最近は短いフランジバックを生かして他社製のレンズやオールドレンズを付けるのも流行りなので試してみるのもいいかもしれない。ちなみに僕は物撮りをする時、マニュアルでピントを合わせている。マニュアルなら、確実な1点にピントを合わせられる。
「α7R」には「ピント拡大」と「ピーキング」という、共にマニュアルフォーカス用のアシスト機能がある。「ピント拡大」は一部を拡大して表示する機能で、機能をオンにしておくとピントリングを回すと自動的に拡大表示に切り替わる。拡大する場所は十字キーで任意に移動可能だ。「ピーキング」は、ピントの合っている箇所のエッジを強調表示する機能だ。
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