このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

多くのミュージシャンが愛した「VCS3」を模したアプリの魅力

変態アプリ「iVCS3」はシンセの本質を突いている

2014年03月18日 19時00分更新

文● 四本淑三

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
「iVCS3」は回路構成はホンモノと同じで独特の動作をするEGや、ショボくていい感じのリバーブまでちゃんと入っています

 困ったことに「iVCS3」と称するiPadアプリが出てしまいました。「ヤベえ」と思った方は、ソッコーで以下のリンクからiTunesでご購入下さい。日本のストアで1500円です。

iVCS3 App
価格1500円 作者apeSoft
バージョン1.0.1 ファイル容量21.6 MB
カテゴリーミュージック 評価(5)
対応デバイスiPad 対応OSiOS 6.1以降

 「いやいや、そんな誘惑に負けてたまるか」と思いとどまった方は、以下の動画をご紹介します。ほらほら、ロキシー時代のイーノが、ピーヒャラいわせてたアレですよ! ほら!

 ところが中には「ヤベえとも思わないし、負けてたまるかとも思わねーよ」という方もいらっしゃるでしょう。そのような方に限り、この先の文章を、お時間の許す限りお読み下さい。

 さて、iVCS3とは何か。それはヤバいシンセです。より正確に言うなら、70年代の前半にヤバかったシンセを模したアプリです。それがどのくらいヤバいかを、これより陳述します。

これがホンモノのVCS3。イーノのほかにはトッド・ラングレン、ディペッシュモード、エイフェックス・ツイン、ステレオラブなど大勢のミュージシャンに使われていました。

「EMS VCS3」「Synthi AKS」がアプリのモデル

 このアプリは、ロンドンのEMSが製造した「VCS3」という製品がモデルです。iVCS3は、いくつか存在したそのVCS3のバリエーションのうち「The Putney (VCS3)」という本体にキーボードコントローラーを組み合わせ、さらにフィルムキーボードとシーケンサー内蔵の「Synthi AKS」の要素も加えたもののようです。

 マニア以外にはまったく訳のわからない話ですが、これは結構な美味しいどころ取りであって、アプリならでは都合のよい所業には感動せざるを得ません。

iVCS3でキーボードとシーケンサーが参照対象となった、ホンモノのSynthi AKS。折りたたみ式でアタッシュケースのように持ち歩けたわけですから驚きです。日本では安部公房も劇伴の制作に使っていました
「DK1」を模したと思われるキーボードコントローラーはスライド式で好きな場所に表示できますiVCS3でSynthi AKSはこうして出現します。もちろんシーケンサーも使えます

 当然ながらメーカーのEMSは、これら製品の生産を停止しておりまして、ウェブサイトは1998年で更新が止まっているうえに、主たるコンテンツが“Our Past”だけというカッコいい感じになっています。iVCS3は、このEMS社の公認アプリということなので、安心してお求めいただけるかもしれません。

 ちなみに、EMSというメーカー名は“Electronic Music Studios”の略で、HTCが“High Tech Computer”だったのと同様、もう少し工夫せんかコラという安直さですが、その一方で製品は工夫されまくりで、やっぱオタクの帝国イギリス人のやることは違うなあと感心せざるを得ません。

 ですが、このシンセ、パッと見、どう使うのかよくわからん代物でもあります。

前へ 1 2 3 次へ

ASCII.jp RSS2.0 配信中