本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
iOSにおける「辞書」の役割
iOSには、存在こそ知られているものの、それほど利用されていない機能/アプリが少なくない。もちろん利用頻度はユーザーによって異なるだろうし、自分はよく使うと主張する向きもあるだろうが、「Newsstand」ナシには生きていけない、という人は少数派だろう。「Passbook」も、ここ日本においては存在感が薄い。音声アシスタントの「Siri」も、数回試してそれっきりというケースが多そうだ。
iOSに内蔵されている「辞書」は、独立したアプリとして存在せず自前のアイコンを持たないため、さらに分が悪い。起動方法はひとつ、「メモ」や「Safari」などのアプリで調べたい文字列を選択し、現れたポップアップメニューから「辞書」を選択するしかない。この操作方法を知らなければ、「辞書」の存在すら気付かれないのではなかろうか。
他のルートで辞書を引けないか念のため確認してみたが、Spotlight検索では「Webを検索」と「Wikipediaで検索」が候補に現れたものの、「(内蔵)辞書で検索」は見当たらない。Siriに「○○を辞書で検索」と話しかけても同じこと、辞書が内蔵されていることなど眼中にないらしく、Web検索を案内される。せっかくの機能なのに、"数歩退いた"ところにあるかのようだ。
内蔵辞書の管理方法も目立たない。iOS 7を導入したときの状況次第では辞書がインストールされないこともあるが、適当な語句を頼りに辞書を起動し画面の左下隅にある「管理」をタップすれば、任意の辞書をAppleのサーバーからダウンロードできる。日本語に関係する辞書は「スーパー大辞林」と「ウィズダム和英辞典」、「ウィズダム英和辞典」、そして「Apple Dictionary」の4つだ。アプリ『設定』から辞書を追加/削除できるようにすることがセオリーと思われるが、なぜこのような仕様にしたか意図は不明だ。
OS Xも同様に、語句を選択した状態でコンテキストメニューを表示し、「"○○○"を調べる」を選択することで辞書を引けるが、iOSと違い独立したアプリケーションとして「辞書」が用意されている。OS XとiOSの融合が進むという観点からすると、iOSにも独立したアプリが用意される可能性はあるということだが、前述したようなSpotlight検索やSiri経由で辞書を引くことができれば、と個人的には考える。せっかくの機能なだけに、現在のように利用しにくい状態で置いていてもしかたないだろう。
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