本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
OS Xには多数のUNIXベースのコマンドが収録されているが、ただ「コマンド」と一括りにするのは少々乱暴だ。機能や書式で分類するだけでなく、BSD UNIX、GNUプロジェクト、NEXTSTEPなど由来を加味することも意味あること。もちろん、「使える」かどうかという観点もアリだ。今回は、知名度が今ひとつと思われるコマンドをいくつかピックアップして、その使い方や由来を解説してみたい。
「scutil」でホスト名を固定する
OS Xには、ネットワーク関連の設定を司る「SystemConfiguration.framework
」というフレームワークがある。「scutil
」はそのフロントエンド的役割を果たすコマンドで、DNSサーバーやPROXYサーバーの設定を確認したり、システム環境設定の「ネットワーク」ペインの各項目を設定したりといった機能が用意されている。とはいえ、GUIで設定可能なことにあえてCUIを使う意味はあるのだろうか?
結論からいえば、「意味はある」だ。用途としては少々ニッチだが、「ホスト名の固定化」に利用できる。OS Xデフォルトの設定では、DHCPサーバーから配布されたホスト名を使用する――つまりDHCPサーバーが変わればホスト名も変わる――ため、固定したい場合には/etc/hostconfig
に「HOSTNAME=hoge.or.jp
」といった行を記述しておかなければならない。しかし、scutil
コマンドで以下の通り実行すれば、viなどのエディタを使わずともホスト名を変更できる。
$ sudo scutil ─set HostName hoge.or.jp
$ hostname
hoge.or.jp
なお、ホスト名の固定化は、ホスト名が変わると異なるバックアップファイルを作成してしまうTime Machineへの対策となる。2ヵ所以上の場所でバックアップしている場合には、固定しておいたほうがいいだろう。
「hostinfo」でプロセス数を調べる
多くのUNIX系OSには、実行しているオペレーションシステムのバージョン名を表示するコマンド「uname
」が収録されている。OS Xにも収録されているので、「uname -a
」などと実行したことがあるユーザーも多いのではなかろうか。
しかし、システム情報を収集する目的であれば、NEXTSTEP時代から収録されている「hostinfo
」のほうが有用だ。「uname -a
」に相当する情報だけでなく、物理/論理プロセッサ数、物理メモリー容量なども表示されるため、マシンスペックを手早く把握したいとき役に立つ。
このコマンドは、実行中のプロセス数を数える目的にも利用できる。UNIXの流儀に従えば、「ps ax | wc -l
」などと複数のコマンドとオプションを組み合わせて利用するところだが、hostinfo
ならコマンドひとつで済み、引数もオプションも必要なし。出力されるメッセージの末尾から2行目に、「Default processor set: 86 tasks, 416 threads, 4 processors
」などと表示されるので、そこからプロセス(タスク)の数を求めればいい。
以下がhostinfo
を実行したところで、末尾から2行目に実行中のタスク(プロセス)数が表示されている。
$ hostinfo
Mach kernel version:
Darwin Kernel Version 10.6.0: Wed Nov 10 18:13:17 PST 2010; root:xnu-1504.9.26~3/RELEASE_I386
Kernel configured for up to 4 processors.
2 processors are physically available.
4 processors are logically available.
Processor type: i486 (Intel 80486)
Processors active: 0 1 2 3
Primary memory available: 4.00 gigabytes
Default processor set: 86 tasks, 416 threads, 4 processors
Load average: 1.19, Mach factor: 2.80
(次ページへ続く)
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