2013年は元CIA職員のEdward Snowden氏が明らかにした米政府の監視プログラム「PRISM」の存在など、プライバシーの問題に注目が集まったが、その関心の高まりを受けて、今年は実際のソリューションや製品が登場しそうだ。
1月15日、プライバシーを最大の特徴とするスマートフォン「Blackphone」が産声を挙げた。2月末にスペイン・バルセロナで開催される「Mobile World Congress 2014」でのデビューを予定している。
端末をリリースするBlackphone社は、スイスを拠点とするジョイントベンチャーである。そのバックボーンとなるのが、Firefox OS端末をいち早くリリースしたスペインのGeeksphone、そして暗号通信技術のSilent Circleの2社。Silent Circleの共同創業者でPGP(Pretty Good Privacy)の開発者として世界的に知られるPhil Zimmermann氏、Geeksphoneの共同創業者兼CEOのJavier Aguera氏、Silent Circleの共同創業者兼CTO、Jon Callas氏など2社の幹部がチームを組む。
Blackphoneは、Silent Circleが持つセキュリティやプライバシーに関する技術とGeeksphoneのオープンソースのスマートフォン開発・製造のノウハウを組み合わせている。
Androidをベースに安全な通信機能を組み込んだモバイルOS「PrivatOS」を搭載。プライバシーとユーザーによる管理にフォーカスしている。個人および法人ユーザーはキャリアや端末メーカーに依存せず、VPNを利用して自分の行動を匿名化でき、安全な通話、テキストメッセージのやりとり、ファイルの送受信と保存、ビデオ通話やチャットが可能とのこと。「CPU、端末ハードウェア、OS、アプリとプライバシーが組み込まれており、端末上での操作をすべてプライベートにできる」と説明している。
スペックや価格などの詳細はまだ公開していないが、性能はメーカー各社のトップレベルの機種と同等としている。SIMロックはかかっておらず、あらゆるGSMキャリアで利用できるという。
Blackphoneは「技術は我々の生活をよくするためのものであるべきだ。だが我々はプライバシーを失い、(技術の)奴隷になってしまった。今こそ変化が必要だ」としている。
Zimmermann氏は電子メールより、電話製品の安全性に興味があったと明かし、「実現するにあたって、残りの技術が進化するのを待っていた」と動画で語っている。Blackphoneは2月24日に開幕するMWCに合わせて、事前予約を開始する予定だ。